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布教講習会

ふきょうこうしゅうかい #1953

布教講習会

ふきょうこうしゅうかい

講習会規程によって開催する習会のことで二種類ある。
宗務院主催のものを中央布教講習会、地方教区宗務区宗務所管区等主催のものを地方布教講習会と称している。
大正六年(一九一七)第一回開催以来、原則として毎年開かれている。

中央布教講習会の部=第一回・大正六年四月九日-一五日。 本郷伝道館(本郷長元寺、大正四年日蓮宗伝道館に指定)。
「台当異目」日蓮宗大学長・風随学。
「我が元政上人」(前日蓮宗大学長)脇田堯惇。
日蓮主義の体道用道」(前顕本法華宗管長)本多日生
布教家養成私見」国柱会総裁・田中智学
「近代文明と宗教問題」東京帝大授・姉崎正治。
家と宗教」東京帝大授・山田三郎。
「戦後の実践倫問題」東京帝大授・中島力造。
宗教意識の発達」日蓮宗大学教授・高島平三郎
「思索と宗教」海軍大学校長・佐藤鉄太郎。
「免囚保護業について」司法省監獄協会主・北島良吉。
「感化救済業及地方改良指導方針」内務省地方局長・渡辺勝太郎。
「婦人問題と宗教」東洋女学校副校長・和田鼎。
「輓近社会の趨勢」内務省属・高田慎吾。
「実及趣味演」五十嵐光竜。
「独逸思想系統」ドクトル・浅井敏治。
(見学)習会員を二分し、第一班は東京巣鴨監獄、第二班は東京感化院。
本回は第一回のことであり内容も充実していたので、師、社会業経営者、他の一般師、聴者等合計一三一名が参加した。
会期中に布教協議会が開催され、各種意見の交換がなされた。

第二回・同七年四月一日-七日。 伝道館。
「御本尊の座配について」日蓮宗大学長・風随学。
「摂折辨」日蓮宗大学授・富木堯広。
「欧州近代思想の変遷」東京帝大授・桑木厳翼。
「帝憲法大意」東京帝大授・上杉慎吉。
民指導の方針」陸軍参謀次長・田中義一。
「日曜学校に就いて」童話・岸辺福雄。
伝播の地理概説」東洋大授・境野哲。
「感化法」立感化院長・小河滋次郎。
「活ける思想主義」東京帝大授・建部遯吾。
「現代思想と」東京帝大授・矢吹慶輝。
八五名参加。 会期中、布教協議会開催。 布教旗制定についての提案あり(これは大正一〇年宗祖降誕七〇〇年記念に制作、各地区に一旗授与)。

第六回より構が変わり、会期の前半を宗義講習として日蓮宗が主催。 後半は社会問題習として仏教連合会主催の講習会に合流した(日蓮宗主催の部)。 同一二年六月一五日-一七日。 伝道館。
「信行の体系」日蓮宗大学教頭・清水龍山
「現代人心の傾向と問題」東京帝大授・姉崎正治。
本門戒壇論」国柱会山川智応
仏教連合会主催の部)同年六月一八日-二四日。
神田中央教会館。
「農村問題と其解決」協調会嘱・太田一。
「最近社会運動の趨勢」協調会参事・小林鉄太郎。
「小作争議に就て」農商務省参事官・小平権一。
「最近の社会思想と」慶応大授・小泉信三。
「農村問題」農学博士・横井敬。
「婦人問題と女子育」第一高女校長・市川源三。
「最近の情」慶応大授・林毅陸。
の將来」東京帝大授・高楠順次郎。
「女子育と育」市川源三。
「現代思想界の趨勢」東京帝大授・紀平正美。
「最近の露西亜問題」外務省情報部第二課長・芦田均。
「支那政情」朝日新聞政治部長・神田正雄。
「最近際連盟に就て」外務省参事官・加藤外松。
「警察行政に就て」内務省警保局長・後藤文夫。
「物価問題と消費経済」法学博士・河津暹。
この習会は一区より専任布教師一名(当時二〇教区)他、派遣布教師、開教地布教師、社会経営者中より選抜であったので正習員は一八名。 特別聴は三九名にとどまった。

第九回・(日蓮宗主催の部)同一五年六月一五日-一七日。 京都本圀寺。
「信行要義」立正大学学部長・清水龍山
宗教の本質」立正大学図書館長・守屋貫
の起源」大谷大授・山辺習学。
仏教連合会主催の部)同年六月一八日-二四日、京都市公会堂。 略。
中央習会が初めて東京以外の地で開かれた。 殊に京都は布教院開催中であったので院生も出席し、習会に新分野を開拓した。 習員五〇名、聴二九名。

第一一回・昭和三年五月一三日-一七日。 宗務院。 略。
この回より会期を五日とし、仏教連合会との合流制を解消。

第一六回・同八年七月二一日-三〇日。 東京一之江国柱会本部。
正科・日蓮主義の現代活用(時代・人慾・社会・思想・生活各問題の解決―全五講)、特別科・本化開導法(本化開導の立脚地・同中心・同規模・同方針・同構成―全五講)国柱会総裁・田中智学
助科・国柱会山川智応他、八講師による「日蓮聖人の道徳観、観、歴史観、育観、婦人観、社会観、自然観、政治観、芸術観」。
科外・文学博士’武田祐吉他、八師による「思想、防、栄養、文学、社会、青年心」等。
布教師、社会業経営者、一般師等一五二名。
この習会は田中智学が五〇余年の実践によって体得した「本化開導法」を我が宗門布教師のために特別科として講述することになったので、宗務院は中央講習会を挙げて国柱会習会に合流した。 智学はこれを五日に分けて述し、受布教師は翌日指名されて領解覆述した。 松木本興、星野日亮等一〇名が壇に上ったが、第五日目湯川泰雅(日淳)、第七日目宮崎玄養は、いずれも法服を整えて高座に上り、前者は新型説教、後者は繰り弁を交えての古来伝承の説教形式をもって領解を発表し、布教師をはじめ一般会衆に感銘を与えた。 この外、毎日の正中法座を厳修。 最終日(三〇日)明治皇御忌法華八講奉修等。 午前六起床、午後九点呼、日夜一〇日間にわたる習に一同多くのものを習得した。 なお七日目(二四日)午後四より会場に隣接する長勝寺において布教協議会が開催され、種々の意見交換、日蓮宗布教連盟の設立を満場一致で決議し、次回の講習会を身延山において開催することを協議して宗務当局に要望した。

第一七回・同九年六月一七日-二一日。 身延山(釈迦堂)宿舎西谷本行
「再び御入山の聖意を論ず」立正大学長・関本龍門
「法華思想史上の日蓮聖人国柱会・文学博士・山川智応
「聖居九年」身延山布教部長・柴田顗秀。
「現代の経済組織と農村寺院経済」早稲田大学授・商学博士・北沢新次郎。
七一名(他祖山学院生)、布教協議会。
初めて身延山においての習会で習員一同感銘深きものがあり、殊に柴田顗秀の「聖居九年」は一同に大きな感激を与えた。 聖居九年は翌一〇年、日蓮宗布教連盟が材第一編として発行した。

第一九回・同一一年五月二一日-二五日。 本圀寺。
正科・「立正安国論大綱」布教院主任講師・塩出潤。
「法華経譬喩説の本義」京都帝大・本田義英。
科外・「浄土宗の布教方法」浄土宗布教監督・神居琳応。
「吾派伝道の現状に就て」浄土真宗本派本願寺派学部長・八尋慈薫。
理教の布教方法について」河原町大教会・上川米太郎。
「最近日本の基督伝道に就て」日本組合基督教会職務部長・芹野与太郎。
(見学省略)。 布教師五三名、聴講五七名、布教院生三八名、光山学院尼衆学林一八名の計一六六名。
この回の特徴としては、科外習の内容が従来の如く一般的学解でなく、その目標を他宗教派の布教法に置いたことである。 ち我が国における大教団の内、四教団を選び布教技術を実演しての布教法の説であった。 習員一同得るところ多大であった。 翌年片瀬竜口寺、次いで身延山宗務院と順次各地に開催されてきたが、現行宗制の施行により中央布教講習会の制度が消滅し、現在においては布教規程による専任布教師の研修会が開かれている。

地方布教講習会の部=九州地区。
大正八年八月二二日-三一日。
同一一年七月二四日-二九日。
元寇記念館において福岡習会が開かれ、師として浜井日成、清水龍山、田辺善知、馬田行啓、山田三郎、小林一郎、高島平三郎等の名が記録されている。 その後にも開かれているが、戦中は随研修会を施行した。
戦後第一回を昭和二三年(一九四八)九州布教講習会の名のもとに佐賀県において開催。
第八回は同三八年熊本本妙寺。
第一〇回は同四〇年福岡県銅像護持教会等、各管区を順次会場として持回り、同五四年をもって戦後通算二四回に及んでいる。
昭和四四年宗務区制施行以後、九州宗務区布教講習会と称している。
会期は初め三日であったが、同四二年第一二回以来、二日になっている。
習科目は「布教師養成規程」に則り、師はそれぞれ専門の学者を招いている。
習会員数は毎回一〇〇名程

兵庫地区。
兵庫県夏期習会と称し、県内三管区合同で大正八年の第一回以来、昭和五四年まで通算六一回を数え、夏期七月または八月に開いている。
会期は第二一回まで五日、以後三八回まで三-四日、第三九回以降は二日となっている。
会場は三管区輪番であって、当番管区内の利便の寺院等において開催。
科目は「布教師養成規程」による。
主任師は清水龍山北尾日大、藤田文哲(三回)、柴田一能、飯沼竜遠(二回)、湯川日淳(三回)、影山堯雄、久保田正文(二回)、本田義英(二回)、新間智啓、布施浩岳(二回)、望月歓厚、石井日章、坂本幸男、‘片山日幹(二回)、宮崎英修(三回)、野村耀昌(二回)、茂田井亨等(他省略)。 習員数は四〇-八〇名。

東北地区。
昭和一五年七月二五日-二七日。 第一六区主催。 日蓮宗夏期習会。 弘前法立寺。 師・守屋貫、木村日紀、石川海浄、竹田智道。 習員四〇名。
同二一年八月二二日-二四日。 青森県宗務所主催。 日蓮宗夏期習会。 黒石遠光寺、師本田義英外。 習員三五名。
同三八年九月一四日。 宗務所主催。 黒石法嶺院、師木村日紀。 習員五〇名。 他、里見岸雄を招き創価学会の話を聞く等数回開催。

北海道地区。
昭和二年八月二四日-二六日。
第一回開催(当北海道は一宗務所、道内寺院住職出席)。
その後、戦争末期と戦後四年を除き毎年継続開催。 同五四年まで四九回に及ぶ。
道内有力寺院が交代で会場を提供。 師は東京より招く。
最近は師の中へ宗務院総長・部長等を加えることがあり、その時は宗務行政についての解説、質疑応答がある。 習を兼ねて有意義との報告を聞く。 習員は五〇-一〇〇名。

この他、各地において区連合習会、宗務区習会、管区習会等が開かれている。
《『日蓮宗法規』(大正一二年版、昭和八年版)、『日蓮宗宗制』(昭和二七年)、現行版『宗報』、『報』、『一之江習会紀要』(昭和八年)》(風随仁)

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