寺院
寺院
じいん
(1)ひろくは宗教上の礼拝・勤行・布教・修行の場などをいい、また僧職者の居住する家を含めて総称する。
とくに仏教における寺をさし、寺刹、仏寺、僧寺、精舎、道場、伽藍、梵刹などとよばれる。
仏教寺院の原始型はインド仏陀時代(B・C六―B・C五世紀)に仏教僧が止住した「精舎」で舎衛城の祇園精舎、王舎城の竹林精舎が特に有名である。
またアショーカ時代(B・C三世紀)の鶏林精舎さらにくだってインド仏教の中心をなしたナーランダ寺などがあった。
中国で初めて寺が作られたのは後漢の明帝の洛陽白馬寺ともいい、呉王、孫権の建初寺が事実上仏寺の初めであるという。
日本では欽明天皇のとき初めて仏教が伝わり蘇我稲目が向原の家を捨てて寺とし、仏像を安置した向原寺が最初である。
以来、四天王寺、法興寺、法隆寺など相次いで建立され、七堂伽藍の制もようやく完備した。
平安初期(八世紀後期)などには寺院を多く山中に建てる風があったが、鎌倉以後は平地に下った。
日本の寺には官寺、私寺、僧寺、尼寺などの別がある。
官寺中には定額寺、勅願寺、御願寺、御祈願寺などの別がある。
江戸時代、諸国寺院の統一を期し、宗門改めの制を設け、戸ごとに所属の寺院を定めさせた。
即ち檀那寺または手次寺(てつぎてら)がこれである。
また各宗寺院は大小により階級をつけ、寺格あるいは堂班などと称する。
最も重要視されるのは本山、末寺の関係で、これに総本山、大本山、別院、別格寺、無本寺、末寺、支院、などの別がある。
各寺院は一般に檀信徒を有している。
《『望月仏教大辞典』「寺院」の項、『図説仏教語大辞典』「寺院」の項》
(2)現在、仏教諸宗派の寺院は宗教法人法による法人格を有している。
昭和一四年(一九三九)宗教団体法は仏教宗派に所属する寺院等に対して、宗教団体と規定してこの法を適用、また設立については文部大臣または地方長官の認可を必要とし、その運営については住職が主管し代表し、総代(檀家の代表)にこれを補佐させた。
昭和二一年に制定された日本国憲法は信教の自由を保障し、政教分離の原則を明らかにした。
昭和二〇年一二月、宗教団体法を廃止し、暫定的に宗教法人令を制定した。
この法人令はいわゆるポツダム勅令であり、宗教団体法の廃止に際して、混乱を防ぐために制定されたものであること、及び宗教法人制度を法律で制定する必要があることなどの理由から法人令改正の声が高まり、昭和二六年四月三日、法律第一二六号をもって宗教法人法が制定公布された。
宗教法人法の特色は次の通りである、
(一)宗教法人の規則の作成、規則の変更、合併等に関し、認証制度をとったこと。
(二)責任役員制と公告制を設けて、宗教法人の管理運営面で公共性、民主性の確保を図ったこと。
(三)宗教法人の合併を認めたこと。
(四)諮問機関として宗教法人審議会を文部省に設置し、宗教法人に関する認証その他の事項について調査審議等を行うこと。
(五)宗教法人令による旧宗教法人も、宗教法人法施行後一年半以内に所轄庁に認証の申請をすれば、宗教法人となる道を開くと同時に、それまでは宗教法人令による宗教法人として存続することができたこと。
なお具体的にいえば法人格の附与については所轄庁(文部大臣または都道府県知事)の規則の認証を得た後、登記することにより法人格を取得。
宗教団体の範囲については、宗教団体の定義づけの規定を設けた。
また法人の運営については(一)三人以上の責任役員を置き、うち一人を代表役員(本宗の場合日蓮宗は宗務総長、寺院は住職)とする。
(他の責任役員については干与人及び総代の双方から選定する)(二)運営については、責任役員による合議制を採り入れた。
そのほか設立(新寺建立)は、土地、建物を有し、日蓮宗の教義、教典に基づいて、宗教活動を行っている教師が、その団体に対して法律上の能力をもちたいとき、宗教法人法第一二条の規程によって、宗教法人を設立することができる。
この場合当該団体は寺院規則を作成し、関係書類を添えて日蓮宗代表役員の承認を得た上で所轄庁の認証を受けなければならない。
と規定されている。
移転に伴い、寺院規則第二条「所在地」を変更するときも、日蓮宗代表役員の承認を得た上で所轄庁の認証を受けなければならない、なお変更規則の施行については都道府県知事の認証した年月日からとする。
統廃合(合併)宗教法人、A寺がB寺と合併し、C寺を設立する。
またはA寺がB寺を吸収合併する等で両寺の合併契約書、理由書、責任役員、決議録、総代の同意書、を添えて、日蓮宗代表役員の承認を得た後、所轄庁の認証を受け、登記しなければならない、合併される寺院の財産は移管され、権利義務一切の権限が承継される。
宗教法人法により成立している本宗寺院の合計数は昭和五四年現在四五六一ヶ寺である。
身延山久遠寺を特等、池上本門寺を一等とし以下三〇等までの等級制度とし、宗費課金等を賦課して年度毎に本院に納入することとなっている。
なお寺院の干与人、総代、責任役員の任期は三年とし改選または再任することが出来る。
《小林弘侑『宗教法人法の概説』、星野清一『宗教法人法の手ほどき』、『宗務時報』(文化庁四七号・昭和五四年)》