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檀那

だんな #3641

檀那

だんな

(一)檀那覚運(九五三-一〇〇七)をいう。
日本天台宗の学匠、檀那流の祖。
檀那僧都・檀那僧正とも称す。
京都の人。
藤原貞雅の子。
出家して比叡山に登り、慈恵僧正良源に師して台学を学んだ。
造詣が深く竪者(りつしや)(提示された論題について説する役)となって席に預り、常に勝義に居して、のちに証義者(竪者と問者との質疑応答を判ずる役)となる。
恵心僧都源信にも師事し、比叡山の東塔南谷の檀那院に止住して講説を盛んにし、横川源信と並ぶほどの名声をあげた。
諸宗の章疏を多く暗誦していたと伝える。
また密教を静真に学び、静真滅後はその弟子、池上の谷阿闍梨皇慶(こうけい)(天台密教事相の大成者、谷流の祖=九七七-一〇四九)についてさらに研鑽し、密教灌頂を受ける。
長保四年(一〇〇二)一月に藤原道長に『摩訶止観』を伝授し、同二月道長邸での藤原詮子(東三条院)の七七日忌法要で散花師の役を、翌五年一二月大極殿の仁王会には一条天皇の命を受けて総導師をそれぞれ勤めて少僧都に任ぜられた。
更に寛弘元年(一〇〇四)五月道長修する法華八講の講師となり、同七月には道長に『法華文句』を伝える。
翌二年八月の最勝(最勝八)の師を勤め、同じ頃一条皇に法華経の疏を進し、その功によって権大僧都に補せらる。
同四年八月道長の吉野金峯山(きんぷせん)経供養導師を勤め、同年一〇月五五歳にして示寂。
臨終にはを念じ(念仏)て終ったという。
没後朝廷より権僧正を受く。
覚運の系統を檀那流と称し、源信の恵心流と並んで日本中古(中世)天台宗の二大学派を形成する。
著書に『観心念仏』『念仏宝号』『草木成仏論』等がある。
日蓮聖人は『四条金吾殿御返事』(別称「煩悩即菩提鈔」)に檀那僧正の教学を評して、「檀那僧正は教を伝ふ、慧心僧都は観をまなぶ。されば教と観とは日月のごとし。教はあさく、観はふかし。されば檀那の法門はひろくしてあさし、慧心の法門はせばくしてふかし」(定六三五頁)と記し、檀那・恵心の両者に比定して「日蓮が弘通する法門はせばきやうなれどもはなはだふかし」と述べている。
《『遺文辞典』歴史篇「檀那僧上・檀那僧正」の項》

(二)梵語dānaの音写。
檀・布施に同じ。
与えること、ほどこすの意。
ほどこし(布施)の完成を檀那波羅蜜・檀波羅蜜・布施波羅蜜六波羅蜜の一つ)という。
布施の意味から転じてほどこしをする人を総称する語となる。
同義語に檀越(梵語dāna-patiの音写、施主の意)がある。
檀那布施には法施と財施があって、信徒は僧に物資(財物)をほどこして徳を得、僧は信徒に対して法=教えをほどこして布施の完成を試みる。
両者は車輪のごとしとされる。
日蓮聖人は信徒を指して「日蓮が弟子檀那等(略)」と檀那あるいは檀越と称した。
聖人の教えを信奉した檀那の数は明らかな者で一六二名ほどであるがそれに尽きない。
それら檀那の在住地域は駿河(38)・相模(21)・甲斐(14)・下総(9)・佐渡(7)・武蔵(5)・安房(4)・伊豆(2)・上総(1)・その他であって、その階層としては地頭層・御人の有力武士やその臣、名主層にいる農民にわたっている。
室町期には京都にみられる町衆と呼ばれる町人など教団をささえた有力な檀那があった。
また後尼(ごけあま)御前・尼御前と呼ばれた未亡人で尼になった女性や夫の入道に随って尼となった人妻のように女性の檀那も数多くいた。
彼女らはすすんで日蓮聖人に物資をほどこし、聖人はすぐさま彼女達に教えを書き送って信仰を勧奨している。
檀那の中には、聖人より直接に教化された者、弟子達が地域的に教化した者があり、家長が檀那である場合、家父長権の強い鎌倉時代ではその家の構成員も悉く日蓮聖人の檀那であったとされ、その家全体が檀那であると同時にまたその一人一人が各々聖人の檀那という関係もあった。
日蓮聖人は、檀那に対して同族であっても一人一人に曼荼羅を授与している場合などがそうである。
近世にみる檀という観念は中世にはみられないが、氏寺(うじでら)や寺(いえでら)を建立した檀那の子孫が檀那となって新たにその寺を外護していった場合はある。
波木井氏と身延山久遠寺、南条氏と大石寺、千葉氏中山法華経寺などがその例で、この形態は日蓮聖人滅後に至って顕著であって、室町期の日蓮団発展の基盤となった。
檀那は「仏経と行者と檀那と三事相応して一事を成ん」(『問注得意鈔』定四三九頁)とあるように同一信仰を持(たも)つことによって檀那たるのであるが、近世に至って各一人一人の檀那族のもとに統制、制度化せられ、を中心とした檀として定着するに至る。
そして檀が所属する寺を檀那寺といった。
《高木豊『日蓮とその門弟』、『日本仏教人名辞典』「覚運」の項、『遺文辞典』歴史篇「檀那」の項、『広説仏教語大辞典』「旦那」「檀那」の項、『日蓮辞典』『新版仏教学辞典』『岩波仏教辞典』「檀那」の項

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