覚運
覚運
かくうん
(九五三-一〇〇七)
天台宗の僧で京都の人。
東宮藤原貞雅の子。
早くに慈慧大師良源に師事、天台学を学ぶ。
静信から密教を伝え、その後静信の弟子、谷流の祖皇慶(こうけい)に天台密教の奥旨を授かる。
また真言密教にも通じた。
比叡山東塔南谷檀那院に止住して講席をかまえる。
内裏貴族に交わり、長保四年(一〇〇二)藤原道長に『摩訶止観』を講じ、寛弘元年(一〇〇四)道長の修す法華八講の講師を務め、翌年には最勝講の講師となる。
また一条天皇に『法華疏』を進講、寛弘四年五五歳遷化。
世に檀那僧正・檀那僧都と呼び、その法脈を檀那流と称し、源信の慧心流と共に日本中古天台の二大学派を成す。
日蓮聖人と檀那流との思想的交渉には問題があるが、覚運は教相門を伝えたという説を受けて遺文に「檀那僧正は教を伝ふ(略)檀那の法門は広くして浅し」(定六三五頁)と伝える。
主著『観心念仏』、『念仏宝号』は天台止観と念仏とを融合して観心念仏を説いたもので、覚運は念仏不乱して臨終したと伝えられる如く、源信と共に観想念仏の叡山浄土教を宣揚していった。
《『遺文辞典』歴史篇「檀那僧上・檀那僧正」の項、『日本仏教人名辞典』「覚運」の項、『国史大辞典』三巻「覚運」の項》