宗務所
宗務所
しゅうむしょ
宗務院統監のもとに行政単位の最先端で地方宗務を分掌するところを宗務所といい、一道一府県をもって一宗務所管区と規定されている。
詳しくは日蓮宗(〇〇府県)宗務所という。
但しその宗務所管内寺院数の多少または地理的広狭、便不便等の理由により合設あるいは分置することができる。
宗務所の所在地は宗務所長、協議員会の議を経て決定し宗務院に届け出る。
宗務所に宗務所長一名、宗務所副長若干名、参事若干名、書記若干名を置く。
但し協議員会の議により宗務所副長は置かなくてもよい。
宗務所長は該管内寺院現住職をして該管内現住職中准講師以上の者について選挙し管長が任命する。
宗務所副長参事書記等の職員もそれぞれ宗務所長協議員会等の意見を徴し任用する。
任期は書記を除くの外三年。
宗務所長任期終了の場合は「宗務所職員選挙規則」により後任者を選挙し、任命願を提出する。
任期中辞任の場合は後任選挙の上、任命願と辞表を提出する。
宗務所長死亡その他の事由により欠員となった場合は首席(上席)宗務所副長、宗務所副長なき時は首席(上席)参事が宗務所長事務取扱となり、宗務所長の事務を執行する。
右の手続を二月以上行わない時は管長は臨時宗務所長事務取扱を命じ得ることになっている。
宗務所長の職務については、
(一)宗務所管内に係る布教条例に関する事務。
(二)宗規、宗則、宗令その他命令の定むるところにより寺院、仏堂、教会所、説教所、僧侶並びに檀信徒を監理す。
(三)宗務院の発する百般の命令の執行。
(四)管内より宗務院へ提出する書類の調査進達、この書類には書類調査の結果事実と相違なき旨の奥書をし奥印を捺さなければならない。
(五)執務に必要な所達の発布。
この他、綱紀の粛正。
管内僧侶檀信徒の善行者褒賞の授与を管長に稟申し、悪徳僧侶に対する懲戒その他の処分を稟申する。
宗務所事務報告、左記宗務所備付文書の作製保管(一本は宗務院へ提出、一本は宗務所)
(1)僧侶法籍薄。
(2)管内寺院並びに仏堂明細薄。
(3)管内寺院並びに仏堂財産明細簿。
(4)管内寺院並びに仏堂檀信徒名薄。
(5)住職法類組寺檀信徒各総代印鑑薄。
(6)教会所説教所明細薄。
次に宗務所副長以下職員の職務、宗務所費の徴集、報告、協議員会機構等が規定されている。
なおこの宗務所職制改正による付則として、本則による宗務所長選定まで管長は臨時宗務所長を特命し、該所長は宗務所長始め宗務所職員を選挙または選定し、その任命を申請するよう定められている。
この宗務所職制の施行細則として宗務所職員選挙規則、宗務所事務状況報告及び雛型がある。
なお明治・大正・昭和の初期は宗務所のことを録所と称し、職員は録司一名、准録同一名、録司補若干名が置かれ、管長が任命し、任期は三年となっていた。
教区画が定められ一二教区があった。
戦後の特色は宗務所の管轄区域内を管内といい、その管内に属する寺院、教会及び結社を便宜上組に区分することが出来る。
また全国の宗務所を一〇区画に区分してそれぞれの宗務区を定める。
宗務所には宗務所長の他、護法事務長一人、参事及び書記その他の職員若干人を置いて地方の宗務を行う。
事情により協議員会に諮って副長を置くことが出来る。
地方宗務は宗務院から命ぜられた事項、宗務院に提出する文書の調査及び進達、その他一般に宗務院で取扱う業務の内、地方関係の事項及び宗務所自体において必要と認めた事項である。
従って寺院、教会、結社、僧籍、補教、先達、寺族の台帳と責任役員、干与人及び総代の名薄等を常時必備する様に義務付けられている。
宗務所長は管内に僧籍のある住職、担任及び教導が互選し任期は四年とする。
護法事務長、参事は管内に僧籍のある住職、担任及び教導の中より書記、日蓮宗新聞通信員は管内の教師の中より、会計は参事または書記の中よりそれぞれ宗務所長が任命し任期は宗務所長の任期とするが、宗務所長が辞任、死亡その他の理由により欠けた場合は、新たに宗務所長が就任するときまでその職務を続ける。
宗務所長が欠けたときは協議員会において宗務所長代理を選定して協議員会議長の連署を以て宗務総長に届ける。
その任期は三月とするが、その期間内に宗務所長認証の申請がないときは宗務総長は臨時宗務所長を任命する。
会計を監査するため会計監査二人を管内に僧籍のある住職、但任及び教導の中より協議員会に諮って委嘱する。任期は二年とする。
また管内の布教及び教化事業その他重要宗務並びに宗務所長より諮問された事項を協議するため一五人以内で協議員会を設ける。
任期は三年とする。
協議員会は議長及び副議長各一人を互選すると共に護法、庶務、財務の三専門委員会の委員を互選して事務但当を定める。
その他管内の布教師会、修法師会及び社会教化事業協会をして宗務所の布教又は教化活動の立案に従い所達をもって実施をなさしめる。
宗務所は原則として一府県一宗務所とするも、寺院数の多少、地域事情の如何により二以上に分置、または合設されることもある。
戦後昭和二一年(一九四六)五三宗務所より発足し二二年七ヵ所、二三年六ヵ所、二六年五ヵ所、三〇年二ヵ所、三五年一ヵ所が増加して現在七四ヵ所の宗務所によって運営されている。
《『日蓮宗法規』(昭和八年版)、『日蓮宗宗制施行細則』(昭和一六年版)、牧口泰存・増田海円共編『現行日蓮宗法令』(明治三八年版)》