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台密・東密

たいみつ・とうみつ #1029

台密・東密

たいみつ・とうみつ

台密は密教の略言、東密は東寺密教の略言。
ただし遺文にはまだこの略言の用例はない。
元亨釈書』二七に「延暦の末、伝弘法一に異学の故に台密有り東密有り」とあるをもって台密東密の用語例の初出とされる。

〔付法相承〕東密では空海『秘密曼荼羅教付法伝』『真言付法伝』により、大日如来―金剛薩埵―龍猛―龍智―金剛智―不空―恵果―空海の八祖説を立てて、これを付法八祖と称し『大日経』の開発に功績のあった善無畏・一行を加えないが、また別に龍猛以下の六祖に善無畏・一行を合して伝持の八祖と称することもある。
このように東密では金胎両部の相承を一体とするが、台密では両部相承を別箇に立てる。
最澄内証仏法相承血脈譜』、円仁『慈覚大師印信三通』等によれば、胎蔵法は、大日如来―金剛薩埵―達磨掬多―善無畏―一行と相承し、一行の弟子義林―順暁―最澄と次第するものと、一行の弟子玄超・不空―恵果―義操―義真・法全―円仁と次第するもの、更に恵果―法潤―法全―円珍と次第する三種がある。
金剛界法は大日如来―金剛薩埵―(文殊)―龍猛―龍智―金剛智不空―順暁―最澄と相承するもの、不空―恵果―慧則―元政―円仁と次第するもの、不空―恵果―義操―法全―円珍と次第する三種がある。
また蘇悉地法は、大日如来―金剛薩埵―龍猛―龍智と相承し、善無畏―一行、金剛智不空の二系が恵果に相承され、恵果の弟子義操・恵則を経て義真―円仁と次第している。
台密の相承次第は円仁の受法の師の義真と同門の海雲が著した『伝法次第記』二巻によるもので、円仁がこれを将来した。
しかし海雲の相承説には色々の誤謬があり、台東両密のに論諍がある。
日蓮聖人遺文では『本尊問答鈔』(定一五七六頁)『真言宗私見聞』(定二〇九二頁)に空海を大日如来より八代目とするのは東密の相承説により、『華厳法相三輪天台等元祖事』の真言宗元祖の項(定二九一〇頁)にある第一説は東密の相承、第二説以下の三説は台密の相承である。
以後相分派して、東密は小野六流・広沢六流の根本一二流を生じ、鎌倉前後に至って三六流となるが、聖人は大別して古義・新義の二流とされる。
新義の分流は平安末期に覚鑁が出て高野山に大小伝法院を開いたことに始まり、頼瑜が正応三年(一二九〇)大伝法院所属の寺院を悉く根来山に移したときをもって起源とする。
台密では伝教大師流・慈覚大師流・智證大師流を根本三流とし、更に皇慶・覚超の頃から一三流に分派した。

教旨〕修法については、東密では金胎両部以外に修法を置かないが、台密では金胎両部を而二とし、蘇悉地を不二として三部立てである。
観心においては、東密は六大(地水火風空識)・四曼(大曼荼羅・三昧耶曼荼羅・法曼荼羅・羯磨曼荼羅)・三密(身・語・意)の体相用三大の円融を説き、六大は体大にして万有に普遍し、万有の本体であり、四曼は相大にして六大体大より縁起した万有の差別相であり、万有の一々相にすべてこの四曼を具足して輪円具足をするから曼荼羅という。
以上二種は衆生の本来成仏を表す。
三密は行者が身に印契、語に真言陀羅尼、意に本尊を観じて法身大日の三密に相応して即身成仏することで、これを用大という。
台密でも即身成仏を目的とするが、阿字(真如)を体と定める。
四曼相大の説は円仁円珍までは明瞭でなく、安然に至って東密の説を摂取して、阿字体大と共に一切説を立てるようになった。

教判〕東密では顕密二教判・五蔵教判を『弁顕密二教論』に、十住心教判を『十住心論』『秘蔵宝鑰』に立てて、顕教は釈迦応身の説法にして劣、密教は大日法身の説法にして勝と立てる。
この三種教判については『小乗大乗分別鈔』(定七七四頁)に見え、聖人は「南三北七の十師の義よりも尚悞れる教相也」と批判される。
台密では『大日経疏』の説に順じて、円密一致を建前とするが、細判すば理同事勝の差ありという。
その旨は円仁蘇悉地経略疏』、円珍『大日経旨帰』、安然義』等に見える。

聖人の批判〕日蓮聖人は開宗以前は『戒体即身成仏義』に明らかなように真言宗を仏教中最高の教えと捉え、開宗後は法華を最勝とされたが、『守護国家論』のときはまだ法華真言を共に正法とされた。
機時鈔』には空海批判があり、『善無畏鈔』には中国密教批判が見えて来る。
しかし台密の円仁批判の時期は遅れ『開目抄』に一箇所「慈覚大師等の真言勝れたりとおほせられぬれば、なんどをもえるはいうにかいなき事なり」(定五八五頁)とあるのを初見とし、以後次第に頻繁となり、身延入山後本格化する。
《『遺文辞典』歴史篇「天台真言宗」「真言宗」の項、『日蓮辞典』『岩波教辞典』「台密」「東密」の項、『史大辞典』八巻「台密」・一〇巻「東密」の項、小松邦彰・花野充道『法華経と日蓮』(春秋社『シリーズ日蓮』一)》

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