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一品二半

いっぽんにはん #34

一品二半

いっぽんにはん

法華経本門正宗分にあたる如来寿量品十六の一品と従地涌出品十五の後半と、分別功徳品十七の前半をいう。
観心本尊抄』には本門三段を明かす段に「涌出品の半品を序分と為し、寿量品と前後の二半此を正宗と為す、其の余は流通分なり」(定七一四頁)とある。
ち涌出品の序分では、他方の菩薩が滅後の弘経を請うが、釈尊はこれを許したまわず「止善男子」と制止され、この娑婆世界には本来六万恒沙菩薩がいて、滅後に広くこの経を説くであろうと告げられた。 と同に、この娑婆世界の大地が震裂して、上行、無辺行、浄行、安立行の四大菩薩を上首とする地涌の菩薩が涌現する。 その会座にあった八千恒沙の菩薩が未だかつてこのような大菩薩が涌出して釈尊を問訊したてまつるを見ず聞かずと念じたので、弥勒菩薩がこの所念を知り、疑を晴らさんと一同を代表して地涌出現の因縁釈尊に問い奉るのである。 これまでが、本門に説き顕される久遠実成序分にあたる。
そして、「爾のに釈迦牟尼弥勒菩薩に告げたまはく、善哉善哉、阿逸多、乃し能く仏に是の如き大事を問へり」より以下、本門の正宗分となる。 この正宗分には「略開近顕遠」と「広開近顕遠」とがあり、前者は涌出品、後者は寿量品と分別品の前半に当る。 さて、正宗分に入ると弥勒の問いに対し、これらの地涌の菩薩は釈尊みずからこの娑婆世界で成道し、それよりこのかた教化示導して、菩提心を起さしめたのであり、これらの菩薩は娑婆世界の下の虚の中に住していると説かれる。 つまり、釈尊が久遠劫よりこれらの衆生化して来たことを明かされる。 ここに「略して近を開き遠を顕わ」されたのであって、近成の迹を開いて久遠本仏を顕す端緒となるのである。 しかし、弥勒を始めとする大衆の疑惑が新たに生じ(動執生疑)、釈尊は成道以来四〇余年の少時にすぎず、如何にして無量の大菩薩化せられたのか、譬えば二五歳の青年が一〇〇歳の老人を我が子なりといい、老人も青年を我が父なりという如きもので信じ難いものであると問うのである。 この問いに答えて寿量品以下に「広く近成を開いて達成を顕」わされるのである。 寿量品では三誡三請重請重誡の丁重な儀式の後に、一切世間の天人及び阿修羅等は、今の釈迦牟尼仏は釈迦族の宮殿を出でて仏道を修行し、菩提樹下において初めて成道せられたと思っているのであろう。 「然るに善男子よ、我れ実に成仏してより已来無量無辺百千万億那由佗劫なり」と、釈尊みずから、迹仏を開いて久遠実成を顕されるのである。 その久遠無始なることを五百億塵点劫の譬喩をもって説かれる。 そして、この久遠本仏はこの娑婆世界に常住して衆生教化しつづけていることを明かされると同時に、師弟倶に久遠であること、娑婆世界が常寂光土であること、十方分身三世の諸仏はすべてこの久遠本仏の分身であり、釈尊は能統一者であることなどが明らかにされる。 そして、釈尊の寿命が久遠常住で、大慈悲者であることを良医治子の譬をもって示されるのである。
次の分別品に至っては、寿量品の仏寿長遠を聞いた菩薩や衆生が得るところの功徳が説かれ、これを法身の記という。 この法身授記を得た大衆は歓喜し、種々の瑞相を現じて会座を荘厳し、弥勒菩薩は偈をもって領解を述べるのである。 この領解の偈頌は一九行あり、この終りの「仏名聞十方広饒益衆生一切具善根以助無上心」までが本門の正宗分である。
以下四信五品が説かれるが、これは本門の流通分にあたる。
このように、本門正宗分たる一品二半は釈尊の久遠実成の開顕が中心テーマとなっており、日蓮聖人が三種教相の「第三の法門」を自らの立場とされたことは、この本門法華が重要な意味を持つからである。 ち、この一品二半は本門の正宗分だけでなく、聖人が本法三段を明かされる段に「又本門に於ても序正流通有り」(定七一四頁)と述べ、本門正宗分たる一品二半の中において、更に序・正・流通の三段を見ようとされているのであって、この場合の本門あるいは一品二半とは、「寿量」「内証の寿量品」「題目の五字」「寿量品の肝要たる名体宗用教の南無妙法蓮華経」という意味に受取れる。 それ故に「一品二半よりの外は小乗教・邪・未得道・覆相と名く」(定七一四頁)と述べられたのである。
つまり、本法三段では一代五十年の諸経および十方三世諸仏の微塵の経々を序分とし、正宗分を一品二半=寿量=釈尊内証の寿量品妙法五字と導出されるのである。 それは在世一品二半の脱益に対し、滅後末法の為の下種の題目は五字となるのである。 このような主体的な法華経の受けとめ方は『法華取要抄』にも見られ「寿量品の一品二半は始めより終りに至るまで正しく滅後の衆生の為なり。 滅後の中には末法の日蓮等が為なり」(定八一四頁)と述べられているのである。
《『遺文辞典』教学篇「一品二半」の項、『日蓮辞典』「一品二半」の項》

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