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祖書略要

そしょりゃくよう #4308

祖書略要

そしょりゃくよう

一三部。
優陀那院日輝(一八〇〇-五九)著。
日輝の遺文註釈書一三部をいう。
ち『観心本尊鈔略要』『開目鈔科文』『文底秘沈決瞙撰時鈔略要』『法華題目鈔略要』『唱法華題目鈔略要』『当体義鈔略要』『三世諸仏惣勘文鈔略要』『十法界明因果鈔略要』『十法界事略要』『後五百歳遠沾妙道略記』『正誑談』『立正観鈔略要』の一三部で、『充洽園全集』第二巻に収録。
この中『立正観鈔略要』は日輝の著述ではないが、日輝著と写伝されてきたので、同全集に収録したものという。
祖書略要は随文解釈の形態をとり、本文を抜萃して『御書鈔』『御書註』『録内啓蒙』『録内扶老』等の先行する遺文註釈書を参照し該当箇所を示し、あるいは本文を引用し、随所に先師の説を批評しつつ自らの解釈を示している。
その推論の精緻にして厳密正確なことは、よく祖意を光顕したものといえる。
以下個別に解説する。
本尊鈔略要』は最も詳しく、冒頭に日遠の説に従って科文を掲げ一抄の構成を示し、日遠と見解を異にする部分は本文中に示し、次いで対告、一部の玄旨、題号について解説し、一抄の要義は他の著述にあると論目別に『一念三千論』等の自著を指示、本文に入って要文を抜萃して註釈を加えている。
『開目鈔科文』は、科文を掲げて一抄の構成を示したもの。
『文底秘沈決瞙は『開目抄』の「文底」の義に関する『祖書綱要』の立義とそれに対する或師の反論との二説を評し、文底秘沈に対する自義を述べ『開目』『本尊』二抄の関係を論じ、両書は教観相顕の義を有すると述べている。
『撰鈔略要』は、冒頭に「立正安国論は是れ破立の初め、此鈔は是れ正しく破立の終り也」と示して、要文を抜萃して諸註釈書の註記を示し、また自義を述べている。
『法華題目鈔略要』『唱法華題目鈔略要』は、前書冒頭において二抄の関係を示し、要文句々を挙げて略註している。
『当体義鈔略要』は、まず本抄は当体蓮華の義、即ち凡夫の当体即身是仏の旨を顕すものであると釈し、次いで『扶老』が本鈔を宗祖の親撰に非ずと疑っているのに対し、種々に考証を加え反論し「親撰疑うべからず」と結論づけている。そして文釈を行い随所に自義を述べ、誤謬・錯入を評決している。
三世諸仏惣勘文鈔略要』は、題号釈、本鈔述作の意を解釈し、本文に入って要文句々を抜萃して略註している。
『十法界因果鈔略要』も一抄の大旨は、十界因果を明かすに託して法華信謗の得失を顕し、教の権実を判ずるにあると釈し、以下本文を挙げて略註を加えている。
『十法界事略要』は、爾前無得道を明らかにするのが一抄の大意であるが、本迩の異目を顕すこと本抄に過ぎたものはないと述べ、本文註釈は先師の説を批評しつつ自義を述べて略註している。
後五百歳遠沾妙道略記』は『撰時鈔略要』で「別記」と予告したものに当り、法華経の末法流布を論じたものである。
『正誑談』は、『御義口伝』普賢経五箇大事の第五「正法治国不邪枉人民」の文の「たぼらかす」の語について考察したものである。
日輝の遺文註釈で注目されるのは『立正安国論』を重要書と認めながら「一時権巧、今時無用」と評して註釈を加えず、また『報恩抄』等の宗教倫理を説く一連の遺文にも註釈していないこと、更に『観心本尊抄』『当体義鈔』『総勘文鈔』等の観心証道の義を重視したことなどである。
なお、『祖書綱要』の出版については「綱要学会(こうようがっかい)」往見。 《小松邦彰・花野充道『日蓮の思想とその展開』(春秋社『シリーズ日蓮』二)》

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