一念三千論
一念三千論
いちねんさんぜんろん
六巻。
優陀那日輝(一八〇〇-五九)述。
天保一〇年(一八三九)。
『充洽園全集』第三編所収。
日蓮宗における一念三千についてのもっとも精緻な論作であり、日輝の代表作とされる。
全体は「一、数量」「二、本末」「三、造成」「四、広略」「五、理事」「六、本迹」「七、台当」「八、心念」「九、空有」「一〇、権実」の一〇章よりなる。
「一、数量」は総論・定数・料簡の三節を立てて「一念」「三千」の意味を明かし、
「二、本末」は総・別の二節を立てて一念三千の本と末の関係を論じている。
「三、造成」は能造・所成を論じて本法縁起の能所を明かし、
「四、広略」は法の広略を述べて一念三千の理法を論証する。
「五、理事」は略説・広説の二節を立てて台家の理性所具一念三千と当家の事相常住一念三千を論ずるもので日輝の一念三千観がもっとも的確に示されている。
「六、本迹」は一念三千・境智・因果・三諦・諸法実相・妙法の六節を立てて本迹論を詳細に叙述している。
「七、台当」は所依教理・所観依境・能観行法・修心定散・道具用否・三学開合・所期通別・逗縁不同・観境因果・境界単複の一〇節を立て台当の同異を論じ、
「八、心念」は心・念・一の三節を立てて一念三千を弁釈している。
「九、空有」は定理・明用・簡教・弁名・判宗の五節を立てて法体実義の帰宗を論じ、
「一〇、権実」は約差等明理権実・約開発明教権実・約理事明行権実・約感応明人権実の四節を立て、教・行・人・理に約して権実を明かしている。