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誓願

せいがん #4775

誓願

せいがん

願を起してなしとげようと誓うこと。菩薩衆生を救済しようと願い定めた誓い。
天台大師智顗の『法界次第初門』巻下の上には「自らその心を制する、これを誓といい、満足を志求する、これを願という」とある。
吉蔵は願と誓に同・異があると説き、智と慧、眼と目のように誓と願とは同の辺があり、異の辺とは誓はして行ずること、願は行ずることを期して未だ果していないこととする(『勝髪経宝窟』巻上末)。
一般的なもの(総願)としては四弘誓願(しぐせいがん)があり、個別的なもの(別願)としては薬師の十二願・阿弥陀仏の四十八願・釈迦の五百大願などがある(『倶舎論』一二巻)。

(一)日蓮聖人四弘誓願について菩薩の要諦であり、であるとして次のように述べられる。
「(三藏の)菩薩一向に凡夫にて見思を断ぜず。而も四弘誓願を発し、六度万行を修し、三僧祇百大劫を経て三藏教の仏と成る。仏と成る時始めて見思を断尽する也」(『一代聖教大意』定六〇頁)、「第十に仏界とは、菩薩の位に於て四弘誓願を発すを戒と成す。三僧祇の間、六度万行を修し、見思・塵沙・無明の三惑を断尽して仏と成る」(『十法界明因果鈔』定一八○頁)、「又菩薩と申(す)は必(ず)四弘誓願ををこす。第一衆生無辺誓願度の願成就せずば、第四の無上菩提誓願證の願は成ずべからず。前四味の諸経にては菩薩・凡夫は仏になるべし。二乗は永く仏になるべからず等云云」(『小乗大乗分別鈔』定七七二頁)。

(二)法華経には誓願・誓言・本願などの関連語彙(い)がある。
それらを大別すると、(1)仏陀の誓願、(2)諸菩薩誓願、(3)二乗の誓願とになる。
(1)仏陀誓願
(イ)釈尊誓願方便品に「舎利弗よ、当に知るべし。我れ本(もと)誓願を立てて、一切の衆をして我が如く等しくして異ること無からしめんと欲しき。我が昔の所願の如き今は已(すで)に満足しぬ。一切衆生を化して皆仏道に入らしむ」と示され、
(ロ)なお「諸本誓願は我が所行の仏道を普く衆生をして亦同じく此の道を得せしめんと欲す」ることが明らかにされている。
(ハ)見宝塔品では多宝如来本願は法華経説法の会座に来って聴法し、真実の説なりと証明することであり、
(ニ)分身諸仏も法華経説法の会座にあらわれて多宝如来にまみえることであることが同品に説かれる。
(2)諸菩薩誓願
(イ)八十万億那由他の諸菩薩は「如来の滅後において十方世界に周旋往辺して、能く衆生をして此の経を書写し、受持し読誦し其の義を解説し、法の如く修行し正憶念せしめん」と自らの本願を満足するために誓願した(勧持品)。
(ロ)臂を捨てて佛の金色の身を得べきことを誓言した(薬王菩薩本事品)。
(ハ)見宝塔品において仏は諸の大衆に向って仏滅後、この経を護持し読誦しようとする者を募り「今、前において自ら誓言を説け」と迫った。
(三)二乗の誓願
(イ)富楼那はただ仏のみが「我等が深心の本願を知しめせり」(五百弟子受記品)と表白した。
(ロ)阿難本願仏法を護持し、将来の諸仏の法蔵を護ることによって諸の菩薩衆を教化し成就するところにある(授学無学人記品)。
(ハ)衆中の五百の阿羅漢で授記を得た者が、世尊に対して「異の土に於て広く此の経を説かん」と誓言した。
今、法華経のなかから「誓願」「誓言」「本願」という直接的な表現のあるところを見、それぞれの誓願等がどのようなものであるか挙げてみると右の如くである。
とりあえず掲げた例によって分るように、その中心は(1)(イ)釈尊誓願であり、諸仏・諸菩薩誓願はすべてこれを中心としての本義に入ろうとするものである。
従って誓願本願の用語は掲げなくても、その本旨においてはそれぞれ仏・菩薩は右に基く誓願を持ち、行動していること明白である。
日蓮聖人は『開目抄』において三大誓願を明らかにしているが、それは(1)(イ)としてかかげた釈尊の本願を担う意味である。

日蓮聖人は『開目抄』において、南無妙法蓮華経とは具足の法門であり、それが明らかにされることによって、十界に皆己界(こかい)の仏界を顕すのであることを述べ、それは衆生、即ち舎利弗等の二乗・一闡提・九法界の衆生に仏知見を開示悟入せしめることであって、ここに衆生無辺誓願の総願が満足するということであると示す。
つまり釈尊誓願本門法華経の唱題の開顕によって満足されたのであり、方便品の「我本立誓願。欲令一切衆、如我等無異。如我昔所願、今者已満足」(前掲(1)(イ)の文)はそのことを示すものであることが示される(定五七○頁)。
有名な三大誓願はこの釈尊の誓願を日蓮聖人が伝え弘めることにある。
ち、この釈尊誓願が法華仏教の潮流として三国において展開し、更に日蓮聖人末法への法華経弘通にそれが体現されるところに、日蓮聖人の三大誓願が示されるのである。
《『遺文辞典』教学篇「誓願」の項、『日蓮辞典』「誓願」の項、『日蓮聖人大事典』「日蓮聖人誓願」の項》

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