相承【教学】
相承【教学】
そうじょう
師より弟子へ教えを伝承すること。
師から弟子へ面授相承するものと、経巻等により法を相承するものとがあり、前者には師資相承・嫡嫡相承・付法相承・直接相承・口授相承・口決相承・知識相承等、後者には依用相承・経巻相承等がある。
聖人の法華経信仰の系譜には外相承と内相承がある。
外相承は法華経信仰の歴史的な系譜の中に自己を位置づけ、自己の正統性を証すものである。
『顕仏未来記』には「天台大師は釈迦に信順し、法華宗を助けて震旦に敷揚し、叡山の一家は天台に相承し法華宗を助けて日本に弘通す等云云。安州の日蓮は恐らくは三師に相承し法華宗を助けて末法に流通す。三に一を加えて三国四師と号づく」(定七四三頁)と述べ、インドの釈尊、中国の天台大師、日本の伝教大師に自己を加えて三国四師の相承を明示されている。
聖人は法華教学の基本を天台大師に、法華経の社会的実践を伝教大師に学ばれることが多く、三国三師を在世から像法にかけての法華経の行者であるとされる。
内相承とは聖人の内証における法華経信仰の相承である。
法華経信仰の歴史的系譜においては天台大師・伝教大師を承けるが、これは思想信仰の外相的な面であり、信仰の内実は釈尊に直結する純粋な法華経信仰である。これを内相承という。
天台大師は法華経を中心に仏教を統一し、法華教学の理論を体系化した。
伝教大師はこれを日本に広布し法華一乗思想を顕彰したのである。
ただし両大師は時機いたらざるゆえに、自己の内鑑を語らずして、これを末法に譲り、法華経迹門の思想を示すにとどめた。
聖人は法華経本門の弘まるべき末法の初に出現されたため、天台大師・伝教大師未弘の法門を流通すべき釈尊の要請を自覚されたのである。
外面的には天台大師・伝教大師の法華経信仰を継承されながらも、その内証においては、純粋な法華経精神をもって釈尊に直参されるのであり、ここにおいて釈尊の御本懐である法華経が実現するのである。
外相承と内相承は聖人における内証同・外用異によるものであると理解される。
外相承は外面的系譜を示しつつ天台大師・伝教大師を自己の師として与同される聖人の立場が示され、内相承は聖人の独自な法華経信仰を示しつつ、天台大師・伝教大師とは区別される本化の立場を示されるものである。
この両相承において、末法今時の法華経信仰が確立されたのである。
『法華宗内証仏法血脈』には、法華宗の始祖釈尊からの相承を内相外相の上から論じ、内証においては、釈尊から聖人への直授を説く。
ただし本書の成立については偽疑説があり、これをもって、ただちに聖人所立の血脈相承と断定することはできない。
聖人滅後、六老僧を中心とした各門流において、それぞれ法義が継承され、教線が拡張されていった。
後世においては各門流に独自の教義が確立され、それが口伝等によって相伝されていったのである。
日興の相承と伝えられる『百六箇相承』(『具騰本種正法実義本迹勝劣正伝』)『本因妙抄』(『法華本門宗血脈相承書』)や富士門流の一部で尊重する『二箇相承』(『池上相承』『身延相承』)等はその代表的なものといえよう。
これらはいずれも聖人から派祖を経由して自門にいたる教義の流れを正統づけようとするもので、なかには聖人や派祖に仮託した偽書もある。
各宗派にそれぞれ相承があり、天台宗には金ロ相承・今師相承・九師相承等、真言宗には付法八祖・伝持八祖、浄土宗には五祖相承・六祖相承・八祖相承、華厳宗には十祖相承・七祖相承、三論宗には六祖相承・三祖相承等がある。
《『遺文辞典』歴史篇「相承」の項、『日蓮辞典』「相承」「内相承(ないそうじょう)」「外相承(げそうじょう)」の項》