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摧邪興正集

さいじゃこうしょうしゅう #2294

摧邪興正集

さいじゃこうしょうしゅう

二巻、浄土宗の僧実恵(恵と慧と混用されている)選。
本書は日蓮聖人の『六郎恒長御消息』『行敏訴状御会通』『真言見聞抄』『諫暁八幡抄』等に述べられる四箇格言念仏無間・禅天魔・真言亡国・律国賊)に対する反論として、特に念仏を信ずる者は無間地獄に堕落すとの説、および爾前得道の有無の問題を取上げ、上巻に道理を以って一七ヵ条に亙り、下巻には経文等の文を以って一八ヵ条に亙り、破斥している。
その内容について森本真順氏の解説によると、本書は本末二巻に分れ記述は平凡・比較的簡単であるが、対破の論難は能く事の急所をうがち読者をして納得させる要義を示しており、恐らく日蓮聖人開宗後程遠からぬ述作であるとしている。
本書の意について、
(一)念仏は諸経所讃にして釈尊等の諸仏も亦慈悲を以て衆生を哀愍するに依って無間業を勧める道理なきこと(上巻、第一、七仏通誡乖反難、第二、六仏勧悪引例難、第三、五逆勧作引証難、第四、釈尊慈劣外道難、第五、自過譲仏重罪難、第六、菩薩声聞不疑難)。
(二)念仏も唱題も三宝の随一、菩提因成仏得道の法にして因果撥無に非ざること(第七、三宝随一無差難、第八、三性分別校合難、第九、涅槃会座無決難)。
(三)文殊の結集、阿難の結集に於ての勝益を述べ(第一〇、文殊結集無利難、第一一阿難結集無益難)。
(四)馬鳴の勧化、竜樹の弘通、無着・天親の造論、諸三蔵の訳、諸師の造疏等を詳述してその素意は念仏称名を以て往生の要路、浄土門の亀鏡たる旨意をあげている(第一二、馬鳴菩薩勧化難、第一三、竜樹菩薩弘通難、第一四、無着、賢慧同罪難、第一五、天親菩薩造論難、第一六、新古三蔵翻訳難、第一七、台等師造疏難)。
下巻に入り、
(五)法華の開会に対して弥陀の開会法蔵発願の昔に配し(第一八、法華開会眼盲難、第一九、不信法華尚益難)。
(六)法華の念仏・浄土の念仏を共に摂取の法とし(第二〇、自経所尊不知難)。
(七)大乗の究極は爾前の教に於て円満究竟し(第二一、自経所誡違背難、第二二、爾前偏属妄語難)。
(八)六方の諸釈尊の誠実の言を証し(第二三、六方諸仏証実難、第二四、普賢文殊帰依難)。
(九)捨閉閣抛の決判は捨劣得勝、捨権取実の化理に基くものにして謗法に当らずと会通し(第二五、捨閉閣抛無過難)。
(一〇)法華と共に浄土経の一乗真実なる旨(第二六、違父命失帰己難、第二七、属小乗者盲目難、第二八、九方仏土一乗難、第二九、諸経中王対小難、第三〇、信解功徳多少難、第三一、法華観音全同難、第三二、止観弥陀同体難)。
(一一)念仏法華の功徳の多少(第三三、止住百歳勝他難)。
(一二)自の有(念仏)無(法華)を判定し(第三四、諸有無難)。
(一三)最後に念仏宗も法華の得益を許して随他の機の為にその行業を勧めて誹謗なきも、法華は念仏の得益を認めず無間業と号するは謗法の極成なるものである(第三五、誹謗正法極成難)
解説している。
さらに本書は日蓮徒の論難に対して浄土護宗の熱意を以て批判して破邪顕正の実を発揮せるものにして斯種作品中相当敬重すべき価値があるものと述べている。
以上の如く、上下二巻、三五段をもって、日蓮党の念仏無間地獄、爾前無得道論を駁論している。
日蓮宗側はこの書に対して、日奥が『断悪生善抄』三巻を著し、反論を加えている。
《『浄土宗全書』八巻・撰択立宗、『仏書解説大辞典』「摧邪興正集」の項

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