声聞
声聞
しょうもん
梵語の舎羅婆迦śrāvakaの訳。
声を聞く者の意で、弟子とも訳す。
仏の声教を聞いて悟りを得る出家の弟子をいう。
四諦の法によって灰身滅智して無余涅槃に入ることを理想とする人々。
自分の平安だけを期待し、他人を教え導びかないとされる。
縁覚と共に二乗と呼ばれ、化他の菩薩と区別される。
十界の中第七番目の界。
声聞を諸経では仏種の枯れ死んだものとして成仏の可能を認めないが、ひとり法華経だけは成仏の保証(記別)を与えている。
大乗の諸経論によると、声聞には二種・三種・四種・五種等の別がある。
二種声聞を説くのは『解深密経』無自性品で、そこでは永く無余涅槃に沈む一向趣寂と、廻心して大乗に転じ遂に無上菩提を得る廻向菩提とを挙げている。
『入楞伽経』第四では声聞に決定寂滅・発菩提願善根忘善根・化応化の三種があると説く。
このうち決定寂滅は前の趣寂の声聞、発菩提願善根忘善根は前の廻向菩提の声聞に当る。
また化応化とは諸仏が大衆を教化するために声聞の姿に変化することをいう。
世親の『法華論』巻下では、決定・増上慢・退菩提心・応化の四種声聞を説く。
決定声聞とは、小乗を修して阿羅漢果を得ることが定まっている声聞。
増上慢声聞とは、未だ得ざるを得たりと思い込み慢心を起す声聞。
退菩提心声聞とは、かつては菩提心を起して大乗を修していたが、のち退転して小乗を学ぶに至つた声聞で退大学小の声聞ともいう。
応化声聞とは前の化応化の声聞に当る。
この四種声聞に、法華経に説かれる仏道声聞(大乗声聞)を加えて五種声聞ともいう。
仏道声聞とは、法華経信解品に「我等今は真に是れ声聞なり。
仏道の声を以て一切に聞かしむ」というのを指す。
以上これらの分類は皆大乗諸経論中の分類である。
小乗諸部の諸論ではこれらの別を認めず、唯この中の趣寂声聞の一種をもつて声聞と名づけている。
《『遺文辞典』教学篇「しやうもん・声聞」の項、『広説仏教語大辞典』「聲聞」の項、『新版仏教学辞典』『岩波仏教辞典』「声聞」の項》