讃
讃
さん
仏・菩薩の功徳や教法、または一宗の祖師・高僧の行跡などを讃美した仏讃歌のことである。
法会に用いられるいわゆる声明としての「讃」の他に、法会に用いられず日蓮宗の民間の諸信仰の中で歌い継がれてきている仏讃歌を指して「讃」という場合がある。
法会に用いられるいわゆる声明としての「讃」には次の三種類がある。
(1)梵語の仏讃歌である梵讃。
(2)漢語の仏讃歌である漢讃。
(3)日本語の仏讃歌である和讃。
日蓮宗には梵讃として法華経勧発品の普賢咒に音節を施した「咒讃」があるが漢讃は見当たらない。
和讃は
〈法華賛歌〉法華経をわがえしことは たきぎこりなつみみずくみ つかえてぞえし つかえてぞえし
〈誕生会和讃〉 悉達太子誕生して 五百の瑞相現前し 魚猟怨悪ことごとく 慈心を生して敬礼す 五障の竜女も成道し 讃逆の達多も授記せらる いかなる我等かもれすきて 滅後の今に生れたる 三十二相の華ひらけ 無明の雲もたえはてぬ 朗然如果の月はれて 十方世界にかかやけり
〈神講伽陀(訓伽陀)〉 和光同塵は結縁のはじめ 八相成道はもてそのをわりを論ず
〈祖師誕生会和讃〉 蓮祖出世の素懐は 諸宗の邪義を折伏し 誹謗の料をあらためて 無間の道をふさぐなり
〈仏名(訓伽陀)〉 上行種類ねがはくは 善行方便めぐらして無明の夢をおどろかし 法性のうつつと成り給ふ
などがある。
法会に用いられない日蓮宗の民間の諸信仰の中で歌い継がれてきた「讃」には次のようなものがある。
日蓮聖人に仮託した『法華和讃』(定二一七四頁)、行学院日朝作と伝えられる『釈迦如来和讃』(写本身延文庫蔵)、青森県蓮華寺に伝承されている「日蓮聖人御一代歌題目」、千葉県浜七カ寺に伝承されている「題目踊歌」、千葉県鏡忍寺に伝承されている「花踊り」、佐渡に伝承されている「七返返し」など。
《武石彰夫『仏教歌謡』、身延山久遠寺蔵版『梵唄』、日蓮宗法式研究会『日蓮宗声明楽譜』、石川是行「梵唄に口伝された五調子とその施法(『棲神』二九号)」》