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断悪生善

だんなくしょうぜん #2370

断悪生善

だんなくしょうぜん

三巻。
仏性院日奥(一五六五-一六三〇)著。
万代亀鏡録』上巻に収録されている。
日奥は不受不施義を主張したために慶長五年(一六〇〇)対馬に遭ったが、その流中処々に多くの書籍を求めた。
その中に『摧邪興正集』があった。
この『摧邪興正集』(『浄土宗全書』第八巻所収)二巻は、浄土宗の学僧実慧が著したもので、日蓮宗徒の念仏門に加えた批難に対し、浄土宗の立場からこれを反駁したものである。
その撰述年代は不明であるが、室町代末期のものと考えられる。
その内容は「先ず念仏無間業の義に付て道理を以て十七個条を破し、文証を引て十八個条を難じ、都て三十五段は略中の最略を取る者なり」とある通り、上巻には一七段を設け歴史的立場から順序道理をもって日蓮宗で主張する念仏無間の義を破し、下巻は一八段に分け浄土三部経あるいは法事讃等の文証を引いて日蓮宗義を論破しようとしている。
この『摧邪興正集』を閲読した日奥は「浅学の輩、に当って驚動せんか」と述べている。
しかしその実態は「管見に任せて正法正義を謗」じたものにすぎないと断じた。
そこで日奥は同書を破すために『断悪生善』を著したのである。
その主旨は「」に「経釈の正文を勘へ筆を染めて彼の悪義を破す。名づけて断悪正といふ。是れ併ながら専修念仏の悪行を断じ法華修行の大善を生ぜしめんとなり」とあることからも明らかな如く、念仏の悪行を断じ法華の大を生ぜしめることにある。
さて本書は三段からなり、まず第一段は題号たる『摧邪興正集』を破し、第二段はかの書の「」を破し、第三段には入文の三五ヵ条を一一に挙げて具さに難破を加えているのである。
いまこころみに三五ヵの難問を列挙すれば、次のとおりである。
第一七通戒乖反難、第二六勧悪引例難、第三五逆勧作引証難、第四釈尊慈劣外道難、第五自過譲仏重罪難、第六菩薩声聞不疑難、第七三宝随一無差難、第八三性各別校合難、第九涅槃会座無決難、第一〇文殊結集無利難、第一一阿難結集無益難、第一二馬鳴菩薩勧化難、第一三龍樹菩薩弘通難、第一四無著堅慧同罪難、第一五天親菩薩造論難、第一六新古三蔵翻訳難、第一七台等師造疏難(以上、上巻)。
第一八法華開会眼盲難、第一九不信法華尚益難、第二〇自経所尊不知難、第二一自経所誡違背難、第二二爾前偏属妄語難、第二三六方諸仏証誠難、第二四普賢文殊帰依難(以上、中巻)。
第二五捨閉閣抛無過難、第二六違父命失帰己難、第二七属小乗者盲目難、第二八九方仏土一乗難、第二九諸経中王対小難、第三〇信解功徳多少難、第三一法華観音全同難、第三二止観弥陀同体難、第三三止住百歳勝他難、第三四諸経所讃有無難、第三五誹謗正法極成難(以上、下巻)。

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