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瓔珞経

ようらくきょう #4141

瓔珞経

ようらくきょう

この経には二種がある。
一は『菩薩瓔珞経』(『正蔵』一六巻)であり、二は『菩薩瓔珞経』(『正蔵』二四巻)である。
この二種の経典は共に『瓔珞経』と称される場合がある。
この二種共に姚秦の竺念(-三七六-三八四-)の訳出とされているが、近時の研究により五―六世紀ころの中撰述と見なされている。
菩薩瓔珞経』には(1)菩薩としての仏陀釈尊伝と(2)菩薩行と(3)本無・本浄思想と識界に関する説との三種が説かれている。
(1)菩薩としての仏陀釈尊伝に関しては、荘厳道樹品では菩薩が過去無数劫の間、受持して修行した十法(慈・悲・喜・護・空無・明慧・広大心・八百総持・無想定・諸根寂静)が説かれ、その他にも十根本義・神足十慧・十・思惟十法が説かれる。
竜王浴太子品では梵天勧請が説かれ、十方法界品では般泥洹のことが説かれ、供養舎利品では舎利八分の事実より肉親法身対立を考慮して法身供養が説かれている。
(2)菩薩行については、最初の普称品の中に二二問の形式で表明されている。
それによれば何に菩薩は法をもって身を瓔珞するか、何に菩薩は空義を分別するか、何に菩薩は止観に遊戯するか、何に菩薩は無著であるかなど二二問が説かれる。
しかし経ではそれが問に対して一々について具体的に答えるという形式でなく随所に個々が説かれている。
(3)本無・本浄思想と識界に関する説については、識界品・無識品・無著品・無想品において本無際、識本無・本無慧・本無如来が説かれる。
法門品において無染汚識・識性常住が説かれて本浄思想が説かれる。
また識界については識定品・供養舎利品において説かれている。
菩薩瓔珞本業経』は『瓔珞本業経』『瓔珞経』『本経』とも略称される。
それは経題の示すごとく菩薩の本を説く経である。
その菩薩の行は菩薩の階位の五十二位説と大乗律説の二種が説かれている。
菩薩の階位は十住・十行・十廻向・十地・等覚妙覚と次第して展開する菩薩の四十二賢聖の心境を明かすものである。
しかし一般には菩薩の初住に登る前に十信の行願があるとされる。
その十信を四十二賢聖に加えて五十二位とするのが菩薩の階位としての五十二位説である。
この経の五十二位説は他の経に比してよく整っている。
この経には五十二位説と共に大乗律が説かれる。
大衆受学品に菩薩の受行すべき信とについて次のように説かれる。
「若し一切衆生の初めて三宝の海に入るには、信を以て本と為し、に住在するには、を以て本と為す」(『正蔵』二四巻一〇二〇頁b)。
ここで説く信とは五十二位説中の十信のことであり、戒というのは三聚浄戒である。
三聚浄戒とは(1)十波羅夷を摂律儀戒とし、(2)八万四千の法門を摂善法戒とし、(3)慈・悲・喜・捨の四無量心を摂衆生とする。
この経の摂律儀の十波羅夷は『梵網経』を受けているといわれる。
更にこの経は大乗戒思想の組織について『梵網経』の欠けた所を補うものとして取扱われている。
この経に最初に注目した人は天台大師智顗であった。
彼はこの経を引用して自の説を荘厳している。
五十二位説について『法華玄義』第三下に「瓔珞の五十二位は名義整足す。
恐らくは是れ諸の大乗方等別円の位を結べるものならん」(『正蔵』三三巻七三一頁c)と説いている。
五十二位とは十信・十住・十行・十廻向・十地・等覚・妙覚である(→ごじゅうにい・五十二位)。
また三観説(従仮入観・従入仮観・中道第一義諦観)は『法華玄義』第三下に、心無尽説は『摩訶止観』第四上に引用して経証とされている。
日蓮聖人は本経が菩薩の五十二位の階位を整備して説かれるその特色から「瓔珞経の五十二位」(『小乗大乗分別鈔』定七七〇頁)と位置づけられる。
《『遺文辞典』歴史篇「瓔珞経」の項、『大蔵経全解説大事典』「〇六五六・菩薩瓔珞経」「一四八五・菩薩瓔珞本業経」の項、『仏書解説大辞典』「菩薩瓔珞経」「菩薩瓔珞経」の項》

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