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聖愚問答鈔(四三)

しょうぐもんどうしょう #4510

聖愚問答鈔(四三)

しょうぐもんどうしょう

上・下二巻。日蓮聖人遺文に加えられているが、真蹟は現存せず、聖人に仮されて後生に造作された文書とする説がある。 録外遺文に分類され、身延十二世日意の『録外御書註文』に「聖愚問答抄 上下二帖」とあるほか、『三宝寺録外』『刊本録外』等に収録。
系年については諸説あり、古来、文永二年(一二六五)説、文永四年(一二六七)説、文永五年(一二六八)説、弘安四年(一二八一)説がある。 『昭和定本日蓮聖人遺文』では文永二年に系けるが、近年では文永五年説も有力視されている。
述作地は、文永期であれば鎌倉、弘安四年であれば身延である。
対告者は未詳であるが、問答者の「愚人」について、本文中に「我は弓箭に携たずさはり、兵杖をむねとして未だ仏法の真味を知らず」 とあり、武士の身分と伺える。
本抄は前段と後段に分かれ、上巻は前段と後段の一部、下巻は後段の残りを収録する。
題号の「聖愚問答」とは、聖人愚人の問答の意。 世無常を嘆く愚人が法華経修行の聖者に導かれて心の平安を得るという設定で論が展開する。
前段では、大地震があった正嘉元(一二五七)年以来の世情に悩み、出離生死の法を求める愚人のもとへ律僧、浄土念仏の居士、真言密教の行者、禅の非人が順に訪れ、それぞれの者が前者の宗教を批判し、自宗への帰依を勧る。 後段は、愚人が諸宗の真偽に迷い仏道探究の旅に赴き、ついに法華受持の真実の聖人(智者・智人)に会う。 聖人は、爾前権教の諸宗を悪道堕獄の業因と指弾し、法華経のみ釈尊の出世の本懐、真実の経典であると示す。 そして、まず念仏宗の無間地獄の所以について、善導・法然の邪義を示し、次に、弘法大師空海の邪義を破し、法華第一の金言、『薬王品』十喩を例に挙げ、真言の邪義を総括し、破折。(ここまでが上巻)
下巻では、禅宗の主張する拈華微笑・不立文字について、これも教(きょう)であり文字であると指摘して、教外別伝・直指人心についての矛盾を挙げ、この教えが無間地獄業因であると、その邪義を破折する。 最後に台の経釈を引いて妙法五字の功徳を示し、末法の法華経受持は唱題にあるとして、不退転信心を勧める。
《『遺文辞典』歴史篇「聖愚問答鈔」の項》

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