十喩
十喩
じゅうゆ
法華経薬王品において法華経と諸経を比較校量して、法華経の超勝を示す十種の譬喩。
(1)水喩=諸水の中で海が第一であるように、法華経も諸経の中で最も深大である。
(2)山喩=諸山の中で須弥山が第一であるように、法華経も諸経の中で最上である。
(3)衆星喩=衆星の中で月天子が第一であるように、法華経も諸経の中で最も照明である。
(4)日光喩=太陽が諸の闇を除くように、法華経も一切不善の闇を破る。
(5)輪王喩=諸の小王の中で転輪聖王が第一であるように、法華経も諸経の中で最も尊貴である。
(6)帝釈喩=帝釈天が三十三天の王であるように、法華経は諸経の中の王である。
(7)梵王喩=大梵天王が一切衆生の父であるように、法華経も一切の賢聖や学無学や菩薩の心を発す者の父である。
(8)四果辟支仏喩=一切の凡夫の中で須陀洹・斯陀含・阿那含・阿羅漢・辟支仏が第一であるように、法華経も諸の経法の中の第一である。
(9)菩薩喩=一切の声聞・辟支仏の中で菩薩が第一であるように、法華経も諸の経法の中で第一である。
(10)仏喩=仏が諸法の王であるように、法華経も諸経の中の王である。
この十種の喩えをもって権実の相異を明らかにし、法華経が一切経中の経王であることを示したのである。
更に薬王品では、この最勝の法華経を受持する者も一切衆生の中の第一であると受持者を称歎している。
日蓮聖人は十喩の文を「已今当」の文等と共にしばしば引用して法華経の一代超勝を主張すると共に、法華経を受持する檀越に対しては受持の徳を讃え勧信している。
《『遺文辞典』教学篇「十喩・十諭」の項》