真蹟
真蹟
しんせき
日蓮聖人の真の筆蹟。
真筆・自筆こと。
日蓮聖人の遺文は真蹟・写本・刊本として伝来しているが、真蹟は最も重要なもの。
その真蹟の残存形態は、(一)完全に現存、(二)ほぼ完全に現存(三)ある部分が欠失、(四)断片・断簡が現存にわけられる。
(一)の真蹟が完全に現存する遺文は、四九三篇(この数値は『昭和定本』初版の正篇四三四、再版の追加四、続篇五五の合計でいるが、その後の増補版はさらに通数を増す)の著述・書状中、一一三篇である。
『観心本尊抄』『立正安国論』のように、題号以下首尾完全に現存する著述や『大田殿許御書』『富木殿御書』のように日付・宛所まで、書状としての完全な形を伝えているもの。
(二)は『撰時抄』のように中間のごく一部が欠失しているもの。
(三)は『諌暁八幡抄』のように首部三分の一を欠いているもの。
(四)は一紙一〇余行のものから数行・一行数字のものまであり、かかる断片の存在は、その断片を含む写本の信憑性を高める根拠となる。
また写本によって伝えられているもの以外に、なお聖人の真蹟遺文のあったことを示す三五七点(この数値も変更される)の真蹟断簡がある。
これらはいずれも著述・書状の一部と考えられるもので、それぞれ独立した一書の断簡とするならば、聖人の遺文は更に増大する。
更に聖人自筆の書写本、要文を加えれば、真蹟の存在は膨大なものとなる。
《日蓮聖人真蹟集成法蔵館編集部編『日蓮聖人真蹟集成』全一〇巻、立正安国会編『日蓮大聖人御真蹟対照録』全三巻、『遺文辞典』歴史篇「真蹟」の項、『図説日蓮聖人と法華の至宝』二巻「真蹟遺文」、渡邊寶陽『全篇解説日蓮聖人遺文』(佼成出版社)、『日蓮聖人大事典』「日蓮聖人の御真蹟」の項、中尾堯『ご真蹟にふれる』、寺尾英智『日蓮聖人真蹟の形態と伝来』》