愚人
愚人
ぐにん
おろかな人・無知の人・才智の働きがにぶい人、愚者・蒙士と同義。
仏教においては、智慧のない者・仏の智慧を知らぬ者の意。
智人に対する語。
日蓮聖人は愚者の語もしばしば用いられるが、愚人と同義に用いられている。
日蓮聖人が愚人の語を用いられているのは『開目抄』の、(1)「諸経は智者猶仏にならず。
此経は愚人も仏因を種べし」(定六〇四頁)、(2)「愚人にほめられたるは第一のはぢなり」(定六〇八頁)である。
(1)の文は、法華経以外の諸経は一般に智者といわれている人でさえも成仏させることはできず、逆に法華経は愚人でさえも成仏させることができる、という意で、智者(智人)に対して用い、(2)の文は、法華経が真実の釈尊の教えで、この経以外に成仏することはできない、ということを知らぬ人を指して用い、そのような人にほめられることが最も恥すべきことである、という意である。
《『遺文辞典』歴史篇「愚人」の項》