本化別頭教観撮要
本化別頭教観撮要
ほんげべつずきょうかんさつよう
一巻。
本妙日臨(一七九三-一八二三)の著書。
『醒悟園叢書』巻二、及び『本妙日臨律師全集』に収められている。
本書は題号の示すとおり、天台教学に対する日蓮聖人の独自の教学である別頭の教相と観心を、日臨の立場でその要点をまとめたものである。
聖人教学とは「三大秘法」であって、本書の冒頭には「本地三法は即ち是れ宗致の真秘なり」と記している。
まず本書は本門本尊、本門題目、本門戒壇の三大秘法を略示し、次に広解を示すのである。
まず本門本尊の段では、本尊には二義ありとして、根本尊敬の義と本有尊敬の義としている。
前者は本門の本尊であって、本有無作三身の教主釈尊とし、後者は観心の本尊で、十界の当体が本尊だと称している。
そして両者は本来一体のものであって、釈尊の一体が三千法界に遍満し、この己身を注入せしめ、自己即本仏の境地に証入し、荘厳の仏は自己を表現したものと信ずることが、当家の本尊観であるとしている。
次に本門戒壇については「戒壇を一に弁じ、戒法を二に論じ、受者位階を三に判ず」の三段からなる。
まず戒壇には理と事があり、理とは深信の者が大曼荼羅に向っている当処が常住戒壇である。
そして事戒壇には分と満があって、聖人のときより三秘がそなわる所、即ち茅宇草堂もみなこれ「分の戒壇」で、王仏冥合の時に建立される戒壇を「満の戒壇」という。
戒法については総戒、別戒に分けるのであって、総戒は妙法五字、これに大小権実一切の戒を内含具有し一切の善を摂し、別戒は妙法五字に具有する諸戒であるとする。
故に総戒の立場からすれば、妙法五字を受持する当処に万戒を具して余すところなく、唱題即持戒の乗戒一体を説く。
しかし一方では、総別相関相資を論じ、総戒受持のほかに別戒受持の必要を強調している。
そして本門の事戒とは妙色戒であって、色とは坐立行住無作三身の四威儀であり、これを本門俗諦常住の妙戒と定めている。
第三に本門の題目を釈し、題目とは「即ち是れ一心の本源、万法の正体、久成世雄の証得したもう所なり」と述べられている。
そして、この題目を大意、釈名、弁体、摂法、偏円、方便、正観の章を立てて当家の立場から解釈し、正観の段には当家の妙行が明かされる。
その妙行とは行者の観心証道が説かれ、己身即法界三千を観ずることであるとする。
その究極においては受持の法は三千の理法であり、行者は当体蓮華仏、本有無作尊形であって、所住の所が常寂光土であると説くのである。
このような日臨の所説は、一妙院日導の凡夫本主論や観心重視の思想を継承したものと思われ、しかもこれらの思想が日臨の宗教的体験の中に溶け込んで、信仰として統一され、系統づけられているといえる。
そして日臨の叙述態度は「如上の諸文皆な祖文に拠る、毫も私曲を用いず」と記しているとおり、祖書をもって祖書を解するという、信仰的態度がうかがえるのである。