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胎蔵界・金剛界

たいぞうかい・こんごうかい #4534

胎蔵界・金剛界

たいぞうかい・こんごうかい

真言密教を代表する二種の法門
胎蔵界はまた胎蔵法ともいい『大日経疏』三では胞胎・蓮華の二喩で解釈される。
胞胎とは胎児が母胎にあって父母に愛育されるように、行者が本有菩提心の性徳を如来の加持力によって増長することをいう。
菩提心為因の位を託胎に喩え、大悲為根の位を胎児が母胎内にあって安穏に生長し、遂に出胎するに喩え、方便究竟の位を出胎の嬰児が成長して種々の事業をなすに喩える。胎蔵曼荼羅を大悲胎蔵生曼荼羅・悲生曼荼羅・大悲曼荼羅等というのは此意による。
次に蓮華の喩とは、蓮華の種子に枝條華葉の性を具足する様を菩提心為因に喩え、この種子が発芽・成育してゆく様を大悲為根に喩え、蓮華が開敷するのを方便究竟に喩える。
以上の因・根・究竟の三句大宗を観念の対境として図絵に表現したものを胎蔵界曼荼羅という。
これについて金剛界は智差別の故に、差別の意味を有する界の字を用いてもよいが、胎蔵は平等の義を表するから、界字を省いて、胎蔵曼荼羅と称すべしという意見が最近は強い。
胎蔵曼荼羅は『大日経』には三種を説く。具縁品・転字輪品・秘密曼荼羅品であるが、具縁品所説を基本とする。
図絵として我に伝わるものに胎蔵図様・胎蔵旧図様・現図曼荼羅の三種あり、現図曼荼羅には空海・円珍・宗叡の三師請来の三図があるが、大同小異。
東を上とし、西向き。
中台八葉院・遍知院・釈迦院・持明院・虚蔵院・金剛手院・除蓋障院・観音院・地蔵院・文殊院・蘇悉地院・金剛部院の一二大院からなり、東西はそれぞれ四重壇、南北はそれぞれ三重壇が中台八葉院を囲繞し、中台八葉院には八葉蓮華を画いて、中台に大日如来、四方葉に四仏、四維葉に四菩薩を配するから八葉九尊となる。
勧請諸尊は合計四一四尊。
金剛界は大日如来の智徳の面を表し、その智慧は堅固で一切の煩悩を打ち砕くのを金剛に喩えて金剛界という。
この界を図顕したものを金剛界曼荼羅という。
それに総説図と別説図とあり、総説図に九会あり。
(1)成身会または根本会、毘盧遮那如来法界体性に住して五相成身の妙智を現じ、三七尊乃至界会の聖衆の発生することを顕す。
(2)羯磨会とは成身会の諸尊が各々本誓に住して仏事を行ずるを顕す。
(3)三昧耶会は、諸尊が金剛杵をもって座とし、深く禅定に入る様を表す。
(4)供養会は諸尊が宝冠・華鬘等をもって本師大日如来供養するを示す。
(5)四会は阿閦等の四大日如来の加持教勅を蒙り、金剛・虚空蔵・観世音・金剛業の四菩薩の身を現じて四智印の相を説くを示す。
(6)一会とは諸尊を大日智拳の一に摂して独一法身の義を顕す。
前の成身会は従一出多の義、この会は従多帰一の義である。
(7)趣会は大日如来、金剛薩埵の身を現じて、煩悩即菩提の秘密趣を宣説するを表す。
(8)降三世羯磨会は、諸尊が降三世明王の羯磨身を現じて三世煩悩を降伏する相を表す。
(9)降三世三昧耶会とは第八会の本誓悲願を開示す。
以上は台密の所伝であって、東密と少しく違う。
『金剛頂大王経』『十八会指帰』所説の金剛界曼荼羅は第一の成身会のみであり、台密では多く成身会のみの一会曼荼羅を用いる。
九会の諸尊の合計一四六一尊。
金剛界と胎蔵界と両方の曼荼羅を合して、両界曼荼羅といい、真言密教の意密の根本をなす。
福田堯頴『天台学概論』、栂尾祥雲『曼荼羅の研究』、『遺文辞典』歴史篇「金剛界」「胎蔵界」の項、『岩波仏教辞典』「胎蔵界」「金剛界」の項、『国史大辞典』六巻「金剛界曼荼羅」・八巻「胎蔵界曼荼羅」の項

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