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本宗の財産

ほんしゅうのざいさん #3384

本宗の財産

ほんしゅうのざいさん

宗門の財産という場合、広義と狭義の二通りの見方が含まれる。
前者は全寺院教会結社の所有する資産であり、後者は寺院教会を法的に、結社を宗門的に抱括する宗教法人日蓮宗」の資産である。
寺院教会結社の総境内地は二三〇万坪、墓地は一〇〇万余坪、収益に活用の寺有地が六〇万余坪あり土地の延べ面積は三九〇万余坪になる。
これに寺有の山林田畑(未調査)を加えると数字は飛躍的に伸びると思われる。
本堂庫裡等の建造物の延べ面積は四七万五〇〇〇余坪になる(昭和五一年宗勢調査による)。
寺院が全国に分布しているため、土地の時価あるいは簿価はさまざまであり、また建物については原価償却を済ませた物件も多く、堂内の動産と共に非評価の文化財もあり、一概に再調達評価額の算出は難しいが、土地において一兆、建造物で三五〇〇億、荘厳具等の動産が五〇〇億、現金預金山林田畑を加えれば少なくとも三兆円は下らないと推定できる。
宗制では既に基本財産へ統合されているが、一般寺院規則で区別されている資産に特別財産がある。
本尊、仏像、宗宝、什物の類で財産目録の筆頭に記載され普通は評価しないが、損害保険へ加入する場合は適当な評価が必要となる。
宗教法人「日蓮宗」の財産は、宗務院が管理し、法人法及び法人規則に従い基本財産と普通財産に分けて把握されている。
基本財産には、教団事務所の宗務院庁舎と谷中学寮の建造物、信託預金されている基金があり、将来沖縄に建設予定の寺院資産がこれに加わる。
庁舎、学寮立地の土地はそれぞれ本門寺、浄延院の所有であり借地権は財産へ編入しない。
建物は年々減価償却(定額法による)を行うため、昭和五三年末現在で庁舎は八○〇四万円、学寮が四五一七万円に評価されるが、償却の目減りを防ぐため充当金員が毎年積立てられている。
基金は原則として永久保存の目的で設定され、果実をもって一般経費の軽減を図る意味がある。
財産処分承認料の三分の二は基金へ組入れる宗制があり、普通財産の剰余金の一部を編入させる事により、過去年々基金は増加しているが、昭和四八年(一九七三)二八臨宗にて、中山妙宗との合同の経費として五〇〇〇万円の取りくずしが承認された。
基本財産の設定、変更については宗会の承認を必要とする。
このように基金は宗門の大きな業完逐のために支弁される質をも備えている。
通常、流用はむろん担保に供するもできない固定化された基本財産に対し、普通財産は常に流動している。
原資は宗費課金の収納金を始め、日蓮宗新聞の購読料、礼録、教宣資料頒布金、預金の果実等であり、使途は宗門の業、行、法人運営を賄う経常費である。
運用にあたっては年の予算をもって前に宗会へ提示する必要がある。
従って財源々泉の原案提出権は内局の専決項であるが、その審議権は宗会に属する。
普通財産の範疇に入るが、予算を起さず宗制で処理される調整資金という制がある。
財源は繰越される剰余金より次年へ受入れた残余金であり、予算計上されながら、現金不足による業や行執行の遅滞を避けるための一流用の資金である。
法人法に基づく剰余金の処は、次年へ繰越し、もしくは基本財産への組入れである。
従って次年へ繰越した分の残余は基金とするのが原則であるが、制以前は決算確定方法にて次年へ予算繰越されていた。
この作を改め、また直接基金へ投入せず、一旦緩衝帯ともいうべき器へ留保し情勢を見極めた上で執行できる余裕をもたせたものである。
そして単に基金造成、あるいは流用金の源泉のみではなく幅広い活用も期待できる含みをもった財源にもなっている。
いわば鍛造所のふいごのように、剰余金を吸収し、基金へ流す基本財産を増加、あるいは歳入状況に欠陥が生じた場合、歳入に多くを望む見込みの立たない場合などに経常会計へ吹込むによって、財政を活発化させるが可能となる。
固定と流動で表せる基金と経常費の中間に浮ぶ性質をもっているが、財政的宗制的に種別すると普通財産に属する。
別掲第七〇〇遠忌報恩奉行会の資産等は、奉行完結の後に合算する方針にて、報恩奉行会稼動中は財務掌握の経常会計と遠忌務局掌握の遠忌会計の二件になる。
経常会計中、未収、仮払、未払、仮受、預り、前受は年内の各予算等で消化される会計の現金未決済分である。
宗制で与えられている会計閉鎖期間の三ヵ月間に前年分会計として処される分でもある。
資産の部の棚卸は主に育頒布資料の品々。
預金は基金一億六四四九万二四三七円と宗会未承認の基金組入れ予定の財産処分承認料中積立金分八六六万四七〇〇円の合計、特定預金の中には、固定負債担保保証を除いた各引当金と調整費資金また建物、車両の減価償却分積立金が含まれる。
剰余金は繰越された分と当該年分の合計が五八〇〇万余円だが、その内五四年会計へ四〇〇〇万円受入れが行われ、残余金一八八一万六四八七円が自動的に調整資産として加わり調整資金の合計は決算後六〇〇〇万余円となる。
遠忌会計分は、そのほとんどが奉行会資金の現金預金だが、既に沖縄布教の拠点として設立された布教所の不動産、動産が計上されている。
両貸借対照表を見れば明らかだが、流動負債は流動資産の五分の一であり、固定負債の引当金は全て預り預金となっており、含み資産も多く、遠忌会計の資金繰りも潤沢であり健全財政がうかがえる。

【補記】
上記は昭和五六年発行『日蓮宗典』掲載の内容である。

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