中老僧
中老僧
ちゅうろうそう
聖人の本弟子六老僧(六上足・六長老)に準ずる直弟子のこと。
『身延山史』によれば「弘安五年十月八日六上足を定むると同時に、其他直弟子十二人を中老僧と云えり」(二二頁)と見え、また影山堯雄『日蓮教団史概説』には「六人外の直弟子十二人を十二中老僧、さらに十八中老僧というは、或は本弟子六人に十二中老僧を加えたものであろうか」(八頁)と述べ、その数を定め難いとしている。
しかし『本化別頭仏祖統紀』では本弟子六人の他に一八人を掲げている。
即ち巻一一「中老十八祖列傅」の項には「六人の上足顧命に因り輪次に塔を守り副輪次三六十八刹を募り後之を称し中老祖となす也」とあって、一八人説をとっている。
いま『本化別頭仏祖統紀』により、一八人の開山と法号を列記すれば次の通りである。
(1)甲州安国山立正寺開山日法(和泉阿闍梨と呼称・宗祖尊像三躯を彫刻し、身延山・長興山・長栄山に残す)。
(2)房州小湊山誕生寺初祖日家(寂日房と称す)。
(3)駿州岩本山実相寺開山日源。
(4)佐渡阿仏房妙宣寺二世日満(豊後阿闍梨と呼称、父遠藤佐衛門尉爲盛こと阿仏房と共に、父子二代聖人に給仕す)。
(5)南総墨田妙福寺開山日秀(丹波阿闍梨と呼称)。
(6)相州相橋長福寺開山日忍(下野阿闍梨と呼称、聖人葬送に列す)。
(7)駿州柚野竹養山正法寺開山日進(三位房阿闍梨と呼称。
身延第三世)。
(8)駿州村松海上寺二世日賢(淡路阿闍梨と呼称)。
(9)南総興津妙覚寺開山日保(卿公と称す)。
(10)北総正峯山妙興寺開山日辯(越後阿闍梨と呼称)。
(11)常州本国山妙光寺開山日門(一乗阿闍梨と称す)。
(12)北総正中山法華経寺三世日高(聖人直檀越太田金吾乗明の長子)。
(13)駿州沼津妙海寺開山日実(但馬阿闍梨と称す)。
(14)甲州小室山妙法寺開山日傅(肥前阿闍梨と呼称)。
(15)大輔公日祐(守塔輪番帖一八人に列す)。
(16)駿州池田青竜山本覚寺開山日位(治部少輔阿闍梨と称し、聖人葬送に列す)。
(17)北総野呂妙興寺開山日合(筑前阿闍梨と称し、守塔輪番を務む)。
(18)野州佐野妙顕寺開山天目(美濃阿闍梨と呼称す)。
中老僧とは、聖人の葬送に列し、また西谷御廟の輪番を六老本弟子と共に務めた直弟子を指す。
およそ、中老の意味が、鎌倉・室町幕府の諸代名の重臣・宿老と併称されることからも、枢要の地位に在る者をいう。
中老僧は諸国に分散し、教化伝道して夫々に一定の寺を興し、その寺を本拠として法線をはった。
後にこの本拠の寺を「本寺」と呼び、これに従う「末寺」が生まれて「本末関係」の成立をみる。
《日蓮教学研究所編『日蓮教団全史』上》