写経会
写経会
しゃきょうえ
報恩、追善、あるいは自他利生のために経を書写して営む法会のこと。
正しくは如法経会(にようほうきようえ)という。
わが国に於ける写経会は、慈覚大師円仁が、天長一〇年(八三三)に比叡山の横川に三ヵ年籠って、石墨草筆をもって法華経一部を書写し、四種三昧(ししゆざんまい)「(1)常行三昧、(2)常坐三昧、(3)半行半坐三昧、(4)非行非坐三昧の四種」を修して経を小塔に納め、堂内に安置した。
のち、この堂を如法堂と呼ぶようになった。
これが始まりで、この後、書写した経を経筒に納めて、仏寺社殿または墓辺に埋納することが盛んに行われるようになった。
如法写経会の次第については種々あるが、一例として、嘉禎二年(一二三六)に、天台宗の僧・宗快の著した『如法経現修作法』をあげると、
(1)前方便、正懺悔以前。
七ヵ日の間、一日三時に法華懺法を勤行す。
調機のためなり。
(2)正懺悔、晨朝の時より、これを始む。
三七日の間、六時三遍の懺法なり。
毎日、懺法訖って著座の後、転経少々、時々讃嘆す。
(3)料紙を迎え奉る事、正懺悔一七日訖って、料紙の所に向い、これを迎え奉る。
(4)写経の硯水を取る事、正懺悔二七日畢って、浄瓶或いは竹筒等を持ち、これを迎う(古儀に横川の浄水を迎うと)。
(5)写経の事、正懺悔三七日畢って後、後夜懺法の後、外方に向い座を敷く。
経蓋、経台、硯筥、覆面、手袋、経筥、含香等、弁備す。
(6)十種供養の事、花、香、瓔珞、抹香、塗香、焼香、幡蓋、衣服、伎楽、合掌、力に随って、これを供す。
(7)奉納の事、或は如法堂、或は霊所、或は墓所辺と記している。
このような法式で行うのを、如法写経会と予備、書写する経は法華経一部八巻と開経(無量義経)、結経(観普賢経)の法華三部経。
あるいは、阿弥陀経、般若心経を加えて五部一二巻、これに加えて弥勒成仏経を合せて八部一五巻としたものなどであったようである。
そして、こうした写経会は現代では各宗とも、ほとんど絶えているが、京都の鞍馬寺では毎年七月末から八月初旬にかけて三日間、如法写経会が行われている。
また、比叡山、四天王寺、薬師寺ならび日蓮宗本山・各寺院においても、儀式の部分を簡略にした写経会が定期的に行われている。池上本門寺では毎月写経会が行われている。
《松野純孝『仏教行事とその思想』、田中塊堂『写経入門』》