法華懺法
法華懺法
ほっけせんぼう
法華三味行法を中心とした自恣会(じしえ)のこと。
天台が摩訶止観の中で説示した四種三味の中の第三、半行半坐三味で法華三味行法を明らかにしたが、その法華三味行法の中で中心肝要な部分を抽出し前後に伽陀を加えたものが法華懺法である。
法華懺法の中心は、懺悔と誦経とにあり、懺悔は文に「至心懺悔弟子某甲与法界衆生」とあるように、自己六根の罪過を懺悔すると共に、他の法界衆生の罪障を懺悔除滅するのである。
誦経は六根の罪障を懺悔して身心清浄となった時、知経し誦経することによって「仏即我、我即仏」になり、三千実相の理によって仏我一体の念に達するの意がある。
日蓮宗で行われている法華懺法は台家のそれと大差がなく、地域によって諸流の法華懺法の伝承を残している。
現在、法華懺法の伝承が見られのは、金沢市内の日蓮宗寺院のみであるが、かつては深草宝塔寺、京都本圀寺、貞松蓮永寺、水戸久昌寺などにおいてその伝承がみられた。
なお『日乗上人日記』によれば、「法華懺法を能くし、久昌寺ではもちろん、谷中瑞輪寺などの諸寺院に出向し、しばしば法華懺法をつとめた」と記している。
〔法華懺法の内容〕(1)惣礼伽陀(「我此道場如帝珠」の句)、(2)惣礼三宝、(3)供養文(「願此香華雲」の句)、(4)奉請段(=一心奉請諸尊)、(5)讃歎(6)敬礼段(=一心敬礼諸尊)、(7)総懺悔句(「為法界衆生断除」)、(8)六根段((イ)眼根段、(ロ)耳根段、(ハ)鼻根段、(ニ)舌根段、(ホ)身根段、(へ)意根段)、(9)四悔((イ)勧請段、(ロ)随喜段、(ハ)回向段、(ニ)発願段)、(10)十方念仏(=合殺〈かっさつ〉)、(11)経段(=妙法蓮華経普賢菩薩勧発品)、(12)後十方念仏(10と同様)、(13)後唄(「処世界如虚空」の句)、(14)三礼(「一切恭敬自帰依仏」の句)。
以上が貞松蓮永寺本法華懺法の内容である。
次に、金沢流法華懺法・深草流法華懺法・光山流法華懺法・天台流法華懺法との異同を見ると、各流の法華懺法の各式文の構成はほぼ同様であるが、経段に若千の差異が見られ、貞松本では法華普賢菩薩勧発品第二十八を読誦するのに対し、他流各本では法華経安楽行品第十四を読誦する。
また、金沢本では経段が二箇所あり、(1)惣礼と(2)礼三宝の間に法華経普賢菩薩勧発品第二十八を、(11)経段で法華経安楽行品第十四をそれぞれ読誦する型式をとっている。
《福田堯穎『続天台学概論』、皆如院日乗『日乗上人日記』、影山堯雄『日蓮宗布教の研究』、『遺文辞典』歴史篇「法華懺法」・教学篇「法華懺」の項、『岩波仏教辞典』「法華懺法」の項》