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鬼神

きじん #5304

鬼神

きじん

変化自在の力を所有して、教を護持し国界を守護し(鬼)、あるいは凶を恣にして人畜を悩害する(鬼)霊的存在をいう。
『法華経普賢品』に子・女・民・所著・夜叉・羅刹・鳩槃荼・毘舎闍・吉庶・富単那・韋陀羅の十二鬼神が出ている。
首楞厳経』には十鬼、『普賢陀羅尼経』には五鬼、『檀特羅麻油述経』には十五鬼、『大孔雀王経』には百八十鬼と更に二十六食鬼、『囉嚩拏経』には十二鬼女等、多くの経典に鬼神名が数多く示されている。
鬼は梵語の訶利の訳であり『婆沙論』一七二に「鬼は畏なり虚怯にして畏れ多し。 又威なり他をしてその威に畏れしむ」とあり、『止観弘決』に「鬼は常人の眼に触れず人に少利巨害を与える」という。
『千転陀羅尼経』には、未来の衆生は徳薄垢重で悪鬼神の便りを容易ならしめ、鬼神は自形を隠して仮託変現し、昼夜に衆生を悩乱すると説く。
しかし日蓮聖人は「濁世の中には多く諸の恐怖あらん。鬼、其の身に入って我を罵褌毀辱せん。 我等を敬信して当に忍辱の鎧を著るべし、是の経を説かんが為の故に此の諸の難を忍ばん、我身命を愛せず但無上道を憎む」(勧持品第一三)と、色読の大信念に立脚して、善悪すべての鬼神を法華経に摂取し行者を擁護する神と観じられた。
『日女御前御返』に「下品の鬼神は糞等を食し、中品の鬼神は骨等を食す。 上品の鬼神は精気を食す。 此十羅刹女は上品の鬼神として精気を食す。 疾病の大鬼神なり。 鬼神に二あり。 一には鬼、二には鬼なり。 鬼は法華経の怨を食す。 鬼は法華経の行者を食す」(定一五一〇頁)とあり、『松野殿御返事』に「何なる鬼畜なりとも、法華経の一偈一句をも説ん者をば、当に起て遠く迎へて仏を敬ふが如くすべしの道理なればの如く互に敬うべし」(定一二六七頁)とある。
鬼子母神、十羅刹女等を行者擁護の守護神とするのはこの祖意に拠る。 従って法華経の行者たる者は「天地法界は顕幽の二界を出でず。 顕界は知り易く甚だ狭く、幽界は見え難く甚だ広し。 衆生既信伏質直意柔軟の我宗験者にして始めて鬼魅怨祟の寄著を識り、加持祈祷に依て本覚に到らしむ。 幽に通し冥に通じて鬼神の情状を知り、末世の災厄を救護せん」(『法華験家訓蒙』)との信念をもって勇猛精進し、一切の鬼神冥衆を得脱させ更に守護させることが肝要である。
《『遺文辞典』歴史篇「鬼神」の項、『岩波仏教辞典』「鬼神」の項》

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