妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

夜叉

やしゃ #1303

夜叉

やしゃ

梵語、Yakṣaの音訳、閲叉、薬叉、夜乞叉、能噉鬼、捷疾鬼、勇健(勢いの強い飛行自在なもの)、軽捷、秘密などと書き、また、優流迦の漢訳によれば「天狗」ともいう。
この鬼は極めて運身が軽捷で常に暴の挙動がある。
もとは神聖な霊的存在、超自然的な存在を意味していた。
その形像は、赤紅で左手に金剛杵を執り、右手を腰に安んじる。
顔面は端麗で明るい表情に満ち、怪奇異様な恐しいようすは示していない。
前聴法の、皆悉く人身に変る。
これは人界の初心の者たちを怖畏させないためであり、またその外相は人貌であっても実体は人に非ず、八部衆の一つとされ、毘沙門天の眷属として北方を守護し、羅刹とともに八部鬼衆の一つとされ、人を傷害して食う鬼とされる。
人食鬼、暴鬼神ではあるが、他方ではむしろ人に恩恵を与える例もある。
夜叉は悪人を食うが人を食べず、むしろ人を守護すると考えられる。
人、生来の挙動を異変して、常に笑い・常に驚き・常に泣き・多語で節がなく・狂乱し・睡眠せず・身体を常に疼痛し・虚空を仰視し・星辰を観るを楽しみ・いつも馳奔し・昼楽しまず夜歓喜し・いつも健羨(けんせん)なるなどは、夜叉の種族に著されたものであるとする。
なお夜叉には三種あり、三夜叉神といい、(1)天夜叉、(2)地夜叉、(3)虚空夜叉である。
丑寅に鎮座し、修法に当り、この三夜叉の力を借りることがある。
《『祈祷指南抄』、『法華験家訓蒙、『遺文辞典』歴史篇「夜叉・薬叉」の項、『広説仏教語大辞典』『岩波仏教辞典』「夜叉」の項

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