顕幽の二界
顕幽の二界
けんゆうのにかい
現世と霊界の一如した世界。
『法華験家訓蒙』縁起には「天地法界は顕幽の二界を出でず顕界は知り易く幽界は見え難し顕界は甚だ狭く幽界は甚だ広し」とある。
顕界とは現世のことで成・住・壊・空の四劫のうち、住劫に五蘊仮合和して有情・非情として存在し、生有、本有、死有、中有の四有のうちの本有の世界をいう。
五蘊とは色・受・想・行・識で、いわゆる物質である色と、受以下の心現象をいう。
死有によって色・心分解して至る所を幽界と称し、幽冥界とも霊界ともいい、凡夫には見えない世界である。
阿含部の『七有経』『健達婆経』『掌馬族経』『五不還経』などにその様相が説かれているが、『倶舎論』では幽界に至った人間の有様を「九門分別」として諸経の説を九つに分類し、更に形量門を加えて十門としている。
死後の形量は「小児の年、五・六歳の如しと雖も、而も、根は明利なり」との如くであるが、詳しくは『阿毘達磨倶舎論』巻第九を参照のこと。