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法華秀句

ほっけしゅうく #3868

法華秀句

ほっけしゅうく

三巻。
上中両巻に各本末があり、総じて五巻。
弘仁一二年(八二一)最澄(七六七-八二二)撰。
『法華経秀句』『法華廣秀句』とも称する。
『伝全』三巻所収。
法相宗徳一との三一権実論争の中で最後に撰述されたもので、法華一乗を顕彰して徳一の謗難を破す。
上巻(本末)には説已顕真実勝・説経名示義勝・無問自説果分勝・五仏道同帰一勝・仏説諸経校量勝・仏説十喩校量勝・即身六根互用勝・即身成仏化導勝・多宝分身付属勝・普賢菩薩勧発勝の一〇の名目を立て、次で第一、説已顕真実勝の論述がなされる。
中巻(本末)は決択仏性護咽喉の名目のもとに天竺仏性諍・大唐仏性諍・日本仏性諍の三目を設ける(ただし、日本仏性諍についての論述はない)。
下巻には説経名示義勝から普賢菩薩勧発勝までを論述する。
上巻の已顕真実勝は、徳一五性各別三乗真実義に対し、一切皆成三乗方便一乗真実を主張したものである。
中巻は天竺・大唐の仏性論争を論じて一仏乗を明かす。
下巻にいたり説経名示義勝には『無量義経』を引いて『法華経』の名義を顕彰し、無問自説果分勝には法華経方便品に依って果分一乗無問自説を明かす。
仏道同帰一勝は法華経の一仏乗を説き、仏説諸経校量勝には法師品の「最第一」の文によって諸経校量を論ず。
十喩校量勝は薬王品の十喩に依って法華最勝を証し、即身六根互用勝には法師功徳品に依って法華経行者の勝妙功徳を説く。
即身成仏化導勝には提婆品の龍女成仏に依って即身成仏を示し、多宝分身付属勝には宝塔品に依って塔中付属・六難九易を論ず。
普賢菩薩勧発勝には勧発品に依って滅後の守護と証果を説く。
日蓮聖人は『秀句十勝鈔』の冒頭に「秀句三巻伝教大師作」と記し、仏説已顕真実勝の末に「此秀句弘仁十二年太歳辛丑造之。中巻可見。弘仁十三年六月四日遷化。伝教大師御作。秀句三巻。法華十勝。得一羽翼三巻。七四證二」と注記されている。
聖人記述の中巻とは現行本の上巻本末を区分して、上巻本を上巻、上巻末を中巻とし、現行本の中巻本末を除いた上・中・下三巻であったと考えられている。
現行本の中巻本末は上巻本末と下巻との文脈上から不釣合で、別箇の最澄の論述が後世になって挿入されたものとされる。
聖人遺文中には本書の名がしばしば見られる。
『法華題目鈔』には龍女即身成仏を本書によって論じ、『善無畏鈔』『真言諸宗違目』『報恩抄』等には諸宗の辺執を破折した論著として、その名をあげられている。
とくに聖人が繰返し依用された引文は「代を語れば則ち像の終り末の初、地を尋ぬれば則ち唐の東羯の西、人を原れば則ち五濁之生闘諍之時なり。(略)」「他宗所依の経は一分仏母の義有りと雖も然れども但愛のみ有りて厳の義を闕く、天台法華宗は厳愛の義を具す(略)」「浅きは易く深きは難しとは釈迦の所判なり、浅きを去って深きに就くは丈夫の心也。天台大師は釈迦に信順し法華宗を助けて震旦に敷揚し、叡山の一家は天台に相承し法華宗を助けて日本に弘通す」等の文である。
これらの引文によって諸宗の謬見を破し、法華宗、および法華経の最勝義と弘通されるべき時・を論証されるのである。
《『遺文辞典』歴史篇「法華秀句」の項、『岩波仏教辞典』「法華秀句」の項》

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