地鎮祭
地鎮祭
じちんさい
「地祭」の一種である。
解りやすいように図示すると、
┌現加持に当って土地に付く迷霊を供養する。
┌地祭┤
│ └土地に付く邪気を除くための払い供養。
地祭┤
└地鎮祭─地祭ともいう。土地の上に建物を建てることを前提としたもので、その土地の邪気退散と吉祥清浄を祈念する。
古伝書では地鎮祭執行に当り、まず兜率天の四十九院に擬して土地を四九に割るが、この四十九院の内には火災至らず、また魔王も障害せずということである。
この四九に区劃することから「地割」「地破(じわり)」「地引」等の言葉が用いられ、現加持の「地祭」と区別しているのである。
因に地鎮祭の語は大正頃から用いられたようである。
その祭祀については享保五年(一七二〇)刊の『修験故事便覧』には「祈祷本尊を定め畢って、次に堅牢地神を請ずべき歟」とあり。
明治九年(一八七六)刊の『祈祷故事略旨』には「鬼子母神を以て本尊と定め、次に堅牢地神を請ずべきか、其故は鬼子母の千子、其五百は天上にあり、其五百は世間に在りて、或は自ら称して樹木神となり、或は地神となり、或は水神等となる云々」。
また明治二一年刊の『法華験家訓蒙』には「堅牢地天儀軌に云く、爾時に堅牢地神座より起て仏に曰して言さく、世尊若し比丘比丘尼、優婆塞優婆夷、童男童女あって至心に我を礼拝し恭敬し供養せば我恒に地味を出して、彼の人を資潤し又た其の寿命を増益し、其の地の精気充溢し其身の色力を得、喜びを得、弁才を得、大智慧を得せしめ人天をして愛敬せしむること比(ひ)あること無からしめん乃至行者若は寺舎を造り、若は一屋を作り若は一樹林を設けんに我その資材を供給して乏少なからしめん云々」とあって、いずれも地神祭祀のことを説いているが、本宗における地鎮祭の根本ともすべきことは、宝塔品の「時娑婆世界 即変清浄 瑠璃為地 宝樹荘厳 黄金為縄 以界八道」の経趣が主となっている。
正規の地鎮祭については、既に前記の『修験故事便覧』に「吾が宗の地祭の式は祈祷相承書の如し、爰に記すべからず」と公開を憚かっているが『宗定日蓮宗法要式』(旧一五〇頁、平成23年改訂再版 一四七頁)に「地鎮式」としてその方式が発表されている。
これは正規の相承に基づいたもので「地取式法の大事」といわれる複雑なことがあり、二-三日前より準備にかかり、式の奉行には最少五名の修法師の奉仕が必要である。
ここではいわゆる略式ともいうべき地鎮祭について簡単に説明する。
(1)まず土地の状態、磁石で東西南北を知ること。
(2)四隅と中央の五ヵ所に深さ二尺位の穴を掘り、その脇に掘った土を盛っておく、
(3)長さ一尺八寸の青竹の幣串に、幅三寸長さ八寸の布帛(ぬのぎれ)(五色)を付ける。
東は青色、西は白、南は赤、北は黒濃色のもの、中央は黄色の布帛を前記の盛った土にさす。
(4)経石、小児拳大のもの五個。
書き入れの経句「我此土安穏。
園林諸堂閣。
種種宝荘厳。
宝樹多華果。
衆生所遊楽」。
の五句。
一石一句宛。
(5)清砂バケツ七分目・浄塩一升・白米一升・御神酒一升。
(6)五穀各一合宛、米・大麦・小麦・大豆・小豆。
(7)供え物。
お備餅または赤飯一升・野菜、三種・五種・七種類。
頭付魚、または乾物、昆布等の海産物。
菓子は少々でも七種類。
その他果物等は適当。
(8)中央穴の前に大曼荼羅を入口に向けてまつる。
その前に祭壇を設け、経石を上位中央に安置し塩米は経石の左、五穀は右に置きその前にお供え物。
燈明、香は一番手前のこと。
浄砂は祭壇の脇に置く。
(9)読経、序・方・寿・神・嘱・普偈・五番神咒・普賢咒、所願不虚より巻第八まで、唱題。
唱題裡に浄砂に白米・五穀・塩を混ぜる。
このバケツを持って導師参列者と共に四隅の各穴に経石と混ぜた砂を一握りずつ入れ、終りは中央の穴に全部入れ、直ちに中央の穴には黄色の布帛も入れて埋めるが、始めとは逆に埋めてゆくこと。
終って導師祈念回向。
行事の間は唱題を忘れないこと。
ただし鉄筋コンクリートの場合は「埋め物」はせず、「経石」のみ工事中にコンクリートに入れる様に指示し、白米・塩・清砂の混ぜたものを参列者と共に全地域に撒いて式を終る。
《『国史大辞典』六巻「地鎮祭」の項》
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