宗会議員選挙法
宗会議員選挙法
しゅうかいぎいんせんきょほう
明治三〇年(一八九七)管長小林日董は「日蓮宗宗会法」を定め、議員の資格を甲・乙の二部に分ち各二五名を選出することとして翌三一年七月選挙を行った。
明治二九年六月二〇日付宗令第一号布達による『日蓮宗改正宗規宗則』には、宗会法及び議員選挙については明記されていないが、明治三四年六月に第一回宗会が開かれた。
『日蓮宗法規』大正元年版は「宗規第六章宗会」の第三九条において日蓮宗宗会と称し、甲・乙両部をもって成立し、第四〇条甲・乙両部は各部二五名の議員をもって組織するとある。
また、宗則の「宗会法」には、甲部は総本山・大本山・本山の現職住職中から一八名・管長の特選する宗門の功労者及び学識経験者中から二名、末寺一〇等以上(寺禄等級年収一〇〇〇円以上)の者から五名。
乙部議員二五名は、第九章第五一条により、
第一選挙区・東京。
第二・神奈川(以上各二名)。
第三・埼玉・茨城・栃木・群馬(一名)。
第四・干葉。
第五・山梨・長野。
第六・静岡(以上各二名)。
第七・愛知・三重・岐阜。
第八・京都。
第九・石川・富山。
第一〇・滋賀・福井。
第一一・大阪・奈良。
第一二・兵庫・和歌山。
第一三・岡山。
第一四・四国。
第一五・広島・山口・島根・鳥取。
第一六・熊本・長崎・大分・宮崎・鹿児島・沖縄。
第一七佐賀・福岡。
第一八・新潟。
第一九・東北六県。
第二〇・北海道(以上各一名)。
と定められた。
第一〇章選挙人被選人の資格は(第五二条)。
甲部議員は総本山、大本山、本山の現住職に限り、特選は宗門功労者、学識経験者中から管長が指名し(第五三条)、末寺で寺禄等級一〇等以上寺院の現住職とした(第五四条)。
乙部議員の選挙人は末寺で二五等以上(年収一二〇円以上)の現住職(第五五条)。
被選人は末寺二〇等以上(年取三〇〇円以上)の寺院現住職にして僧階准講師以上の者(第五六条)。
(一)宗務院役員、(二)日蓮宗大学教職員(但し学長を除く)、(三)布教院職員、(四)名簿確定後移転を生じた者、(五)兼務住職、(六)停止已上の懲誠処分中の者は、第五七条により甲部乙部を問わず選挙人被選拳人たることを得ない。
選挙長は甲部は宗務総監(第四九条)、乙部の選拳長は選挙区内の録司(今の宗務所長)一名を管長が任命する(第五〇条)。
宗会も初めは五年に一回が二年毎となり昭和になって、毎年開会されるようになった。
昭和八年(一九三三)六月改正の宗則第一四号、「宗会議員選挙法」で議員数は一級二級特選の三種とし、一級議員一〇名(総・大・本山選出)、二級議員二八名(末寺選出)、管長特選三名計四一名。
第二条により二級議員の選挙及び議員数も改正されて、
第一区=東京四名。
第二区=神奈川二名。
第三区=埼玉・茨城・栃木・群馬一名。
第四区=干葉。
第五区=山梨・長野(以上各三名)。
第六区=静岡(二名)。
第七区=愛知・三重・岐阜。
第八区=京都。
第九区=石川・富山・滋賀・福井(以上各一名)。
第一〇区=大阪・奈良・兵庫・和歌山(二名)。
第一一区=岡山。
第一二区=広島・山口・島根・鳥取。
第一三区=佐賀・福岡を除く六県。
第一四区=佐賀・福岡。
第一五区=新潟。
第一六区=東北六県。
第一七区=北海道。
第一八区=四国(以上各一名)。
となり、その後選拳法について見るべき変更は無く戦争に突入した。
戦後昭和二五年(一九五〇)迄従来の宗会制度が続いていたが、都市寺院の大半を焼失した宗門の深刻な現状と身延山を中心とした問題における与野党の攻防の中から管内の実情に精通している宗務所長の代表による議決機関がより好ましいものとして宗会を廃止した。
新たに参与会制度を昭和二六年に設け、これが昭和二九年迄続き六回の参与会を開いた。
しかし行政立法の一体には無理があり元の宗会制度に復帰し、昭和三〇年第一回の宗会が開かれた。
そして昭和三七年の第一一宗会において会派が生れ、今日に至る迄会派宗政が続いている。
宗会議員の選拳については以前より、その選拳規程を整備しなければ、公正な選拳が行われないとする批判があった。
特に選拳長を取った側の有利が指摘されザル法と極論された。
そのため同四一年三月「宗会議員選挙規程調査委員会規程」ができて、伊藤勝淳を委員長とする委員会が成立した。
次回の選挙における実施をめざして九人の委員が調査研究し、現行の「宗会議員選拳規程」ができた。
改正の主なものは次の通りである。
(1)選挙の公正管理を期すため、宗務院に七人で組織する選挙管理委員会を設け、その委員は宗会の同意を得る。
(2)選拳長が作製していた投票用紙を、中央の選拳管理委員会が作り、投票用紙及び中封には管理委員会委員長、選拳長、及び選挙委員中、二名の捺印をすることにより員数外の出るのを防止。
(3)立候補出来ない者の範囲を拡大し明確にした。
とりわけ宗務所長、副長は職を辞して六ヵ月を経なければ立候補出来ないとし、在職中の地位を利用した選拳運動の制限。
(4)選挙委員は協議員会の同意を得ることとした。
これは選挙長が自分に都合のよい委員を選ぶことを防ぐため。
(5)協議員が宗会議員に当選した場合、協議員を辞さなければならない。
(6)選挙長の投票用紙発送は同時発送にした。
これは戦術的に日をずらして発送することを防ぐため。
(7)立候補の届出期間を一五日から三日間に短縮した。
これは選挙になるのか、無投票になるのかを早く知るため。
(8)投票の締切が開票日の前日午後六時を開票日の正午として即日開票。
(9)本人持参による投票の時間を午前九時から午後六時迄。
(10)開票の方法について、表封筒、中封及び投票用紙は選拳委員及び選挙立会人の回覧を経る。
(11)選拳の期間、四〇日を三〇日とした。
その後更に五日短縮、現行は二五日。
更に多年の懸案であった非住職教師に選挙権を与えることが、昭和四七年の第二七宗会において可決された。
委員会討議で問題の非住職教師の選拳場は僧籍地、投票用紙の送り先は現住所とした。
このことは僧籍地に送る場合、本人の知らない間に他人が投票する危険を配慮してのことである。
また選拳権を行使するについての制限を設けた。
(1)二年以上教師義納金を滞納している者。
(2)僧籍地を他の選挙区へ移動して一年を経ない者。
これは立候補者が定数である選拳区、すなわち選挙の行われない選挙区の教師が選挙を行う選挙区への移動を防ぐため。
(3)新たに教師になって一年を経ない者。
なお現在、投票方法の問題即ち一般の選挙のように日を定めて直接投票場に行って投票する方法が論議されているが、大都会のような所は可能性があっても、地域が広く交通不便、寺院数の少ない選拳区ではその実施には困難が予想されている。
また次点者の問題も論議されているが、三五選挙区の中、定数一人区が二九選挙区であるということと、二人の立候補者が一議席を争うというのが殆どという現状では、種々の問題があるとされている。
《『日蓮宗改正宗規宗則』(明治二九年六月改正)、『日蓮宗法規提要』(大正元年一一月版)、『日蓮宗法規』(昭和八年八月版)、中村錬敬稿宗会編『宗門の歩み』》(中村錬敬・伊藤勝淳)