宗会法
宗会法
しゅうかいほう
日蓮宗の立法機関である宗会の運営方法を定めた規則。
この規則は明治三〇年(一八九七)初めて制定された「宗会法」にその端を発するものであるが、その後数度の改正を経て大正一〇年(一九二一)整備、昭和二六年(一九五一)参与会制発足、宗会制廃棄により一度中絶した。
同三〇年三権分立、宗会制復活と共に宗会会議法として再度施行、同三八年宗会規程改正に至るまで適用された。
本法全一一章五七条、細則「宗会規則」全九章一〇一条から成っている。
ここに両者を総合して解説する。
第一章=宗会の召集成立及び開会。
宗会は宗規に宗会議員をもって組織し、管長が召集し、その開会閉会停会及び解散を命ずと定められているが、この召集の命令は緊急の場合以外、集会の期日を定め議案の綱領を具して三〇日前に発布することになっている。
議員は右召集命令に指定された期日の午前一〇時議場に参集する。
集会者総議員の三分の二に満ちた時、連記無記名投票をもって正副議長候補者各一名の選挙を行い、当選人につき管長これを任命す。
この正副議長の任命までは宗会書記長が議長の職務を執行する。
正副議長任命後、書記長はこの旨を議員に紹介、議長は所定の席に着く。
議長は議員の議席を定め、宗会成立の由を宗務院に通告、管長は教旨を下し開会を命ずる。
第二章=議長書記及び経費。
宗会に議長副議長各一名を置き、任期は議員の任期による。
議長は議場の秩序を保持し、議事を整理し、宗会を代表す。
議長は宗会閉会の間において仍宗会の事務を指揮す。
議長は委員会に臨席し発言することを得る。
但し表決の数に与からない。
議長事故ある時は副議長が代行する。
宗会に書記長一名書記二名を置く。
書記長は議長の命を承け書記を指揮し事務を処理す。
書記は上長の命により議事録及びその他の文書案を作り庶務に従事す。
宗会議員、書記長及び書記には定めるところにより旅費手当を支給し、宗務院職員で前項の職務を兼ねた時は慰労を給す。
その他宗会の経費は総て宗費をもって支弁する。
第三章=委員。
宗会の委員は常任委員特別委員の二種。
常任委員は予算及び請願の事件を審査するため、開会の初めに議員の互選をもって九名の委員を定め一会期中その任に就く。
特別委員は一事件を審査するため議長の指名もしくは議員の互選により定め特に審査を付託する。
常任委員長及び特別委員長は各委員会において互選。
常任委員会及び特別委員会は議員の外、傍聴を禁ず。
委員会の決議により議員の傍聴を禁ずることを得る。
委員長は委員会の経過及び結果を宗会に報告し、委員会は議事録を作り委員長及び書記長連署これを保存す。
宗会は宗務院の要求またはその同意を経て宗会閉会後においても委員会を開き議案の審査を継続することができる。
第四章=会議。
会議は通常午前一〇時に始まり、正午一二時に終り、更に午後一時に始まり同三時に終る。
議事日程が終らない時は議長は延会を宣告することができる。
議長は議事日程を定めて議場に報告し、議員に配布す。
議員で諸案を発議せんとする者はその案を具し、理由を付して定規の賛成者と共に連署してこれを議長に提出、議長は宗会に報告する。
議事日程は宗務院より提出した議案を先にす。
但し緊急な事件について動議があり、これが成立した場合はこの限りではない。
議案は三読会を経てこれを議決する。
但し宗務院の要求もくしくは議員五名以上の要求で、出席議員の三分の二以上の多数をもって可決した時は三読会の順序を省略することができる。
三読会という議決方式は次のとおりである。
(一)第一読会において議案を朗読した後、宗務院委員または発議者はその趣旨を弁明することができる。
議員は議案に対し疑義があれば説明を求めることができる。
議長は議案に対し便宜上朗読を省略させることができる。
(二)前条の手続を終った時は宗務院より提出した議案はこれを委員に付託す。
宗会は委員の報告を待ち、大体につき討論した後、第二読会を開くか否かを決する。
議員より提出した議案は大体につき討論した後、第二読会を開くか否かを決す。
もし委員に付託するとの動議があってこれを可決した時は、その報告を待ち第二読会を開くか否かを決す。
第二読会を開くべきでないと決した時はその議案を廃棄したものとする。
(三)第二読会においては議案の逐条を朗読し、これを議決す。
議長は便宜議案の朗読を省略させることができる。
(四)第二読会においては議案に対し修正の動議を提出することができる。
議員は読会の前、予め修正案を議長に提出することができる。
(五)委員の報告に係る修正は賛成をまたずして議題となす。
(六)議長は逐条審議の順序を変更し、または教条を連ね、または一条を分割して討論に付することができる。
但し議員異議を提出する時はその賛成者があるのを待ち討論を用いずにそれを決する。
(七)第二読会の終りにおいて宗会は便宜により議案を委員に付託して修正決議の条項及び字句を整理させることができる。
(八)第三読会においては議案全体の可否を議決する。
(九)第三読会においては文字を校正する外、修正の動議をすることはできない。
但し議案中、互いに抵触する事項、または現行宗規宗則と抵触する事項があることを発見した時は必要の修正を動議することはこの限りでない。
以上が三読会方式の議決方法であるが、すべて議案を発議し、議案の修正動議を発するものは五名以上の賛成がなければ議題とすることができない。
但し特に規定した場合を除き動議は二人以上の賛成者を待ち議題とすることができる。
議決については議員二分の一以上出席、その出席議員の過半数をもって決す。
可否同数の時は再議に付し、なお同数の時は議長の決するところによる。
その他、発言の方法、回数、議長が自ら討論に当る場合の方法について規定している。
また宗務院の要求、議長もしくは議員五名以上の発議で秘密会を可決した時は、議長は直に傍聴人を退去させる。
秘密会の議事は刊行できない。
議事録は宗会成立及び開会閉会に関する事項及び年月日時、会議延会中止及び散会の月日時、宗務役員及び宗務委員の氏名、告文及び教諭、議長及び委員長報告の諸件、会議に付した議案の題目、議題となった動議及び動議者の氏名、決議の事件、表決及び可否の数を計算した時はその数、宗会において必要と認めた事項等について記載し、議長または当日の会議を整理した副議長及び書記長が署名して保管する。
議事速記録は速記法により議事を記載す。
但し議長が取消を命じた発言は速記録に記載しない。
議員の発言中誤謬を発見した時は字句に限り訂正することができる。
発言の意味を訂正することはできない。
第五章=宗務役員。
宗務役職員の中から宗務委員が委嘱される。
提出案の説明、疑問点の解明に当るが、宗務総監及び宗務委員は何時でも発言を許可される。
但しこれがため議員の弁論を中止させることはできない。
第六章=停会閉会。
管長は必要と認めた時は三日以内において停会を命ず。
議会停会の後、再び開会した時は前会の議事を継続する。
宗会閉会の場合において議案建議案請願で決議できなかったものは後会に継続しない。
但し委員付託になったものについてはこの限りではない。
閉会は管長の命によりこれを挙行す。
宗会を解散した場合は宗令をもって新たに議員を選挙せしめ、解散の日から五ヵ月以内に議会を召集する。
第七章=上申建議及び質問。
宗会は文書をもって管長に上申し、または宗務院に建議することができる。
上申または建議の動議は七名以上の賛成を必要とする。
議員は五名以上の賛成を得て宗務院に対し質問することができる。
第八章=請願。
本宗僧侶中寺院住職及び准講師以上の者は宗会に請願することができるが、これは総て議員の紹介により議長が受理する。
請願書は委員の要求または議員五名以上の賛成があればこれを会議に付し、宗会において採納することを議決した時は意見書を付して宗務院へ送付す。
但し宗規を変更せんとするもの、誹毀侮辱の語を用いているもの、総代の名をもってするものは受理しない。
第九章=退職及び議員資格審査。
宗会議員で議員となることができない職務に就いた時、また被選資格を失った時は退職とす。
また宗会において議員の資格に異議を生じた時は委員を設け審査し、その報告を待って議決する。
第一〇章=請暇辞職及び補欠。
宗会議員は正当の理由をもって議長に請暇を申出て、その許可を得なければ会議または委員会に欠席することができない。
宗会は議員の辞職を許可することができる。
議員に欠員を生じた時は議長は選挙長に通牒し補欠の手続を求める。
第一一章=紀律及び懲戒。
会議中議員であって本法の規程に反し、その他議場の秩序をみだす時は議長はこれを制止、または発言を取消させる。
なお命に従わない時は議場外に退去させる。
議場騒擾で整理できない時は議長は一時議事を中止、または当日の会議を閉ずることができる。
傍聴人妨害をなす場合は退場を命ずる。
宗会は議員に対し懲戒の権を有す。
懲戒事犯がある時は議長はこれを懲戒委員に付し審査、宗会の議決を経てこれを宣告す。
懲戒の条目は次の通りである。
(1)公開の議場において譴責す。
(2)公開の議場において適当の謝辞を述べさせる。
(3)一定の時間出席を停止す。
なおこの懲戒の動議は一〇名以上の賛成をもってなす。
宗会議員は正当の理由なく召集に応ぜず、または正当の理由なく会議もしくは委員会に欠席し、議長から特に招状を発しても故なく出席しない者は懲戒に付す。
《『日蓮宗法規』(昭和八年版)、「日蓮宗宗制施行細則」(昭和一六年八月令達第四号)》 (風聞随仁)