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十重禁戒

じゅうじゅうきんかい #952

十重禁戒

じゅうじゅうきんかい

十重ともいう。 梵網経下巻に説述されている大乗菩薩の条項。
一〇カ条の重大な禁で、その内容は小乗戒とは解釈の上で相違があり、大乗菩薩を守るべき態として積極的、利他的精神に富んだものである。 その条は
(1)不殺または快意殺生(殺生の禁止、生物を故意に殺害することをめる)、
(2)不盗または盗人物(盗窃の禁止、他人の一切の財物を故意に盗むことをめる)、
(3)不婬または無慈行欲(婬の禁止、姦淫等を禁じ、慈悲心なく婬欲を行ずることをめる)、
(4)不妄語または故心妄語(妄語の禁止、わざと嘘をいうことをめる)、
(5)不酤酒または酤酒生罪(酤酒の禁止、酒を造ったり酒を売買することをめる)、
(6)不説四衆過戒または談他過失戒(他人の罪過を語ることを禁止し、出家在家の菩薩および比丘比丘尼の過失を説くことをめる)、
(7)不自毀他(自己を讃めて他人を謗ることをめる)、
(8)不慳惜加毀(貪心の否定で、布施行為を慳むことをめる)、
(9)不瞋心不受悔または瞋不受謝(瞋心の否定で、怒って人の謝罪を受けないことをめる)、
(10)不謗三宝戒または毀謗三宝戒(仏法僧の三宝を謗ることをめる)、
等の一〇の重いめから成る。
この梵網の十重禁戒は、最澄によって、法華円頓の精神に立脚した真俗一貫の戒律として依用され、自律的律法として、また、民道徳としても依用されるに至った。
日蓮聖人の遺文中、十重禁戒について触れている御書を挙げれば、『戒体即身成仏義』(定六頁)、『薬王品得意鈔』(定三四一頁)、『主君耳入此法門免与同罪事』(定八三三頁)、『妙密上人御消息』(定一一六二頁)、『本門戒体鈔』(定一七二三-四頁)、『秋元御書』(定一七三六頁)、『刑部左衛門尉女房御返事』(定一八〇七頁)、『戒法門』(定一九三五頁)等にその名を見ることができる。 しかし、以上挙げた内で『戒体即身成仏義』と『薬王品得意鈔』と『秋元御書』の三書を除く他の諸御書については、真偽未決とされる。
《『遺文辞典』教学篇「十重禁戒」「四十八軽戒」の項、『岩波辞典』「十重禁」の項》

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