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伊字の三点

いじのさんてん #558

伊字の三点

いじのさんてん

悉曇(梵語)の伊字(異体)の形をいう。
この三点は縱列でも横列でもなく、丁、摩醯首羅(大自在)の面上にある三目のようで、このの三目が鼎立しているその形状が伊字(以字)の三点のようだという。
涅槃経』では、法身、槃若、解脱の三徳の相不離なるにたとえ、烈火「」の形を横とし、水「氵」の形を縦として、物の異にあって体の別なることにたとえる。 花と実のごとしという。 伊字の火点、水点という言葉の出所と思われるが根拠はない。
また『涅槃経疏』巻六には新旧の伊字があって、旧は新はなりといい、章安大師(五六一-六三二)はと書いたといわれる。
京都本隆寺四一世・日寿(一七八八-一八五三)の『真流正伝鈔』巻四本如来寿量品によれば、伊字の三点は諸経論の外題には必ずこれを書き、種々の書き方がある。
外道悪魔等に仏法の深意を知られぬため、または降伏のためで、の字とも書く。 ただし法華経は諸経の王で、がこれを知らないから書く必要はない。
また慈覚大師の口伝にはの字の落居(落着すること、おちつき)は四天王を表す、これはの字がとなって四点となる故である。
日蓮聖人曼荼羅は四方に四天王を勸請するが、その時、王の字に点を加えるのはこのためと、に二王の無きことを知らせるための筆法の習いであるという。 更に祈祷加持のお札の首にの字を書く時、日蓮聖人の筆法の習いをもってこれを書くべし。
ある人は法華の札等には書くべからずといい、書くは則ち経徳を失うというが、この指南は、他経には必ずその外題に伊字を書き、法華経の場合は、書いても書かなくても失(とが)はなしという義なりとしている。
『岩波教辞典』「伊字三点」の項、『新版教学辞典』「伊字の三点」「以字点」の項、『真流正伝鈔』(『宗全』一〇巻)、『修験故事便覧』、『法華験家訓蒙』》

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