阿含経
阿含経
あごんぎょう
(一)阿含は梵語のāgamaの音写で「聖教」の意。
従って阿含経は仏陀によって説かれた聖教、更に聖典の意。
すなわち三蔵(経・律・論)のうちの経蔵にあたる。
(二)小乗経典の総称。
(三)阿含部に属する経典。
北伝漢訳仏典では四阿含に分類し、南伝パーリ語仏典では五部(pañca-nikāya)に分ける。
四阿含とは、(1)長阿含(じょうあごん)(三〇経)、(2)中阿含(二二二経)、(3)増一阿含(四七二経)、(4)雑阿含(他の阿含経に収められない短い多数の経典)。
五部は、(1)長部Dīgha-nikāya、長さの長い経典三四経、(2)中部Majjhima-nikāya、中位の長さの経典一五二経、(3)相応部Saṃyutta-nikāya、仏教の主要教理等に関する短い経典二八七五経、(4)増支部Aṅguttara-nikāya、法数に関し、一法から一一法に及ぶ二一九八経、(5)小部Khuddhaka-nikāya、小誦(Khuddhakapātha)・法句経(Dhammapada)・感興偈(Udāna)・如是語(Itivuttaka)・経集(Suttanipāta)・天宮事(Vimānavatthu)・餓鬼事(Petavatthu)・長老偈(Theragāthā)・長老尼偈(Therīgāthā)・本生話(Jātaka)・義釈(Niddesa)・無礙解道(Paṭisambhidāmagga)・譬喩(Apadāna)・仏種姓(Buddhavaṃsa)・所行蔵(Cariyāpiṭaka)の一五経。
天台教学では、三種教相の五時八教において、仏が成道して三七日(二十一日)を過ぎて以後の十二年間は、鹿野苑などで小乗の教えのみ説いたとして、その期間を「阿含時」、または説かれた場所に因んで「鹿苑時」といい、化法の四教においては、三蔵(経・律・論)の教えを説くところから「三蔵教」あるいは「蔵教」と呼ぶ。阿含経の所説は、声聞に四諦を、縁覚に十二因縁を、菩薩に六度を説いている。
日蓮聖人は、阿含経の流布する時代を「正法の始五百年」と定め、主として付法蔵の二十四祖の初めの迦葉・阿難が弘めたと説く。
《『遺文辞典』歴史篇「阿含経」・教学篇「阿含」の項、『岩波仏教辞典』「阿含経」の項、『大蔵経全解説大事典』「〇〇〇一・長阿含経」「〇〇二六・中阿含経」「〇一二五・増一阿含経」「〇〇九九・雑阿含経」「〇一〇一・雑阿含経」の項、『仏書解説大辞典』「長阿含経」「中阿含経」「増一阿含経」「雑阿含経」の項、引田弘道『法句経』(『新国訳大蔵経』本縁部四)》