愛染明王【修法】
愛染明王【修法】
あいぜんみょうおう
梵名Rāgarāja「ラーガ=ラージャ」漢名「羅誐羅闍・摩訶羅誐」羅誐は彩色、赤色、愛情、情欲の義。
羅闍は王、明王の義。
愛欲染執(貪愛染着)の義よりして、衆生の本有倶生の欲染(煩悩)をそのままに金剛薩埵(大日如来または金剛愛菩薩、金剛王菩薩を本地とする)の染愛三昧の化身とし、これを愛染明王という。
即ち貪愛染着することそのままで、悟りを開けるようにする明王で、これは「煩悩即菩提」を説き示す。
愛染明王を本尊とし敬愛、調伏、息災、得福、鉤召(こうしよう)の五種の祈願を修する法を愛染明王法といい、愛染王法(定六八三頁)、愛染法(定一五八四頁)ともいう。
特に敬愛和合を本とするが、大事のあるときは必ずこの法を修する。
十五壇法の一つ。
愛染明王の形像は、一面三目六臂で忿怒形、赤色の日輪を背にし、身は赤色、手には弓箭その他の法具を持つ。
この他に、一身男女両面の像をもって祈念し、馬陰蔵三昧(愛染明王の三昧の名)を得るといい、立川流は、ここより赤白二諦男女和合説を出す。
また天弓愛染明王と名づける像もある。
鎌倉時代には、不動明王と合体した両頭愛染明王がある。
この像を、京都の天皇や公家が「関東調伏の法」の本尊と崇め、源頼朝達は、現在鎌倉覚園寺に現存する愛染明王像を祈って対抗したといわれる。
日蓮聖人は本尊に不動愛染を種子をもって勧請せられた。
不動愛染を四天王と同等に妙法の守護神とし、かつ生死即涅槃、煩悩即菩提と示された。
一般の風習として、愛染御火焚、愛染参りが行われる。
愛染を藍と染物と解して、染物業者の尊信するところとなり、毎月二六日を縁日とし、特に京都の藍染業者は、一一月二六日に釜の藍に神酒を供え、釜に水を湛えて、火を焚き、明王に今年の藍の色の良いようにと祈念した。
また染物業者の間では、正月元日には明王を祀った寺へ参詣する習慣があり、大阪では水商売の女性が愛の神として尊崇し参詣する。
日蓮聖人に真蹟現存の『不動・愛染感見記』があり(定一六頁)、また大曼荼羅本尊に勧請されている。
《『遺文辞典』歴史篇「愛染明王」の項、『日蓮辞典』『岩波仏教辞典』『図説仏教語大辞典』「愛染明王」の項、神奈川県立歴史博物館編『鎌倉の日蓮聖人 中世人の信仰世界』》