悪人成仏
悪人成仏
あくにんじょうぶつ
悪人とは十悪業や五逆罪等を犯した悪逆者のことで、悪人成仏とはこのような悪人が成仏すること、悪人にも成仏の可能性があることをいう。
二乗や女人等と共に諸経で排斥されていた悪人は、法華経において仏記を受ける。
即ち提婆品において、十悪・五逆の提婆達多が天王如来の記別を受けるのがこれである。
日蓮聖人はこれを『開目抄』に「宝塔品の三箇の勅宣の上に提婆品に二箇の諫暁あり。
提婆達多は一闡提なり、天王如来と記せらる。
涅槃経四十巻の現証は此の品にあり。
善星・阿闍世等の無量の五逆謗法の者、一をあげ頭をあげ、万ををさめ枝をしたがふ。
一切の五逆・七逆・謗法・闡提・天王如来にあらはれ了んぬ。
毒薬変じて甘呂となる」(定五八九頁)と述べられている。
たとえ諸経に悪人・女人等の成仏を説いても、これらはすべて法華経にいたらなければその根拠を得ることができない。
従って諸経の成仏は「改転の成仏」であって有名無実である。
法華経の一念三千の成仏において始めて一切の成仏が真実究竟するのである。
父母の孝養はこのような法華経の成仏原理の中にあるのであり、提婆品の悪人成仏は慈父の、女人成仏は悲母の成仏を実現するものである。
『開目抄』の「二箇の諫暁」とは、提婆達多の悪人成仏と龍女の女人成仏をいう。
《『遺文辞典』教学篇「悪人成仏」の項、『日蓮辞典』『岩波仏教辞典』「悪人成仏」の項》