提婆達多
提婆達多
だいばだった
調達(じょうだつ)ともいう。
斛飯王の子で阿難の兄、釈尊の従弟にあたる。
釈尊に従って出家したが嫉妬我儘の心があり、大衆を誘惑して新教団をつくり、阿闍世王とともに釈尊に敵対して種々の危害、三逆罪(出仏身血、殺阿羅漢、破和合僧)を犯した。
その結果、遂に提婆達多は生きながらにして地獄におちた。
しかし法華経からみれば極悪非道の提婆達多も提婆品において天王如来という仏名を授けられ、成仏したことが次のように説かれる。
昔、ある国王が仏教の悟りの境地を求めて、大乗の教えを説く師を四方に求めた。
その時、阿私仙人が国王に「もしよく修行すれば、妙法華経という大法を説こう」と告げた。
国王は阿私仙人の言葉に従い、薪・菓・蓏をとり、水を汲み、食を設けたりして給仕に努め、遂に仏になることができた。
そして、その時の国王とは今の釈尊であり、阿私仙人は今の提婆達多であると表明する。
釈尊は提婆達多という善知識によって悟りを得ることができたことを理由として、提婆達多に対し無量劫ののち天王如来に成るという記別を授けられた。
日蓮聖人は『開目抄』に「提婆達多は一闡提なり、天王如来と記せられる。(略)毒薬変じて甘呂となる」(定五八九頁)と悪人提婆達多の成仏をあげて、法華経の功徳の広大無辺さを力説している。
《『遺文辞典』歴史篇「提婆達多」の項、『日蓮辞典』『岩波仏教辞典』「提婆達多」の項、『図説仏教語大辞典』「デーヴァダッタ」の項》