阿私仙人
阿私仙人
あしせんにん
(1)仏陀世尊が過去因位において王であった時、奴僕となって師事し、妙法華経を説示した仙人の名。
法華経提婆品第一二に「誰か大法を有てる者なる。
若し我が為に解説せば、身まさに奴僕となるべし。
時に阿私仙あり、来りて大王に白さく。
我れ微妙の法を有てり、世間に希有なるところなり。
若し能く修行せば、吾れまさに汝が為に説くべし」と、また「時の王とは、則ち我が身是れなり。
時の仙人とは、今の提婆達多是れなり」と、この阿私仙人が提婆達多の前身であると説く。
(2)詳しくは阿私陀仙(Asita)といい、また阿私多、阿私哆、阿私咤、阿斯陀、阿私、阿夷とも作る。
無比、端正等と訳す。
中インド・カピラヴァストゥの仙人。
釈尊が誕生されたとき、その尊容を拝して、出家すれば必ず正覚を成じて仏陀となり、また世間に留まれば転輪聖王となると予言した。
自らは釈尊の成道に先立って寂したが、侍者那羅陀(Nālaka)童子を出家せしめて、太子釈尊の成道を待たしめたという。
日蓮聖人遺文には『種種御振舞御書』『日妙聖人御書』『松野殿御消息』『南条殿御返事』等に引用が見られる。
《『遺文辞典』歴史篇「阿私仙人」「阿私陀仙人」の項、『岩波仏教辞典』「阿私陀」の項》