当家宗旨名目
当家宗旨名目
とうけしゅうしみょうもく
二巻。
室町期中山門流の本成房日実(生没年未詳)著。
詳しくは「当家宗旨教機時国名目」といい、上下二巻よりなる。
その内容は三秘、五綱、祖書目録、聖人伝等を記述せる一種の宗学概論ともいうべきもので、問答体になっている。
上巻には当家の意義、日蓮聖人の上行再誕の立証、当家の宗旨、教機時国、名目等の綱目があり、下巻には御書目録(録内御書四七篇についての簡単な解説)、諸経と法華経との関係、本地垂迹説、六老僧及びその門流の本迹論の異相、日常門流の本迹一致の教旨、所依の経典についてなどが記述されている。
なお本書の著作年代は下巻の奥書に、「当時寛正二年比如此綴旨置也。本成房権少僧都日実」とあることから、寛正二年(一四六一)、即ち聖人滅後一八○年の作と考えられる。しかし本文中には寛正二年より六年後に当る「応仁元年十二月一日」の事柄が記述されている。このことから、後年に補修を加えたものか、あるいは応仁元年以降の作とすべきか問題がある。
なお執行海秀「当家宗旨名目の述作年代について」(『大崎学報』八四号)という論文に詳細な検討がなされ、聖人滅後二百年頃の成立と見なしている。
さて本書の教学の特徴は、観心主義思想を根幹として、本迹未分の根本法華を強調し、ここを立場として本迹未分一致を説く。
また中古天台的な観心釈や配当釈を駆使し、更に本地垂迹を論ずるにあたっては一種の法華神道を組織して、神仏一体を主張しているのである。
刊本は、元禄八年(一六九五)2冊。本満寺発行『日蓮上人伝記集』に刊本影印所載。