宗旨
宗旨
しゅうし
一宗の趣旨。
宗門の根幹の教義。
即ち三大秘法のこと。
宗義の大綱としては、本宗では古来から「五綱三秘」を一宗建立の要旨としている。
「五綱」とは五義判のことで教・機・時・国・師(序)の五箇の日蓮聖人が法華経を選びとった教判をいい、「三秘」とは五義により一代仏教から詮顕され、聖人によって実証された「法華経」の秘奥の要法をいう。
この所顕の釈尊所得の一大秘法は行法として三大秘法に開出され、その信行の当処に本宗の証(成仏)が現成するとされている。
従って特に「宗旨の三秘」の語があり「本門の本尊」「本門の題目」「本門の戒壇」の三大秘法に日蓮聖人の宗教の枢要があるのである。
「日蓮宗宗憲」の第二条宗旨の項に「日蓮宗は、本門の本尊を帰依の正境とし、本門の題目を信行の要法とし、本門の戒壇を依止の戒法とする三大秘法を宗旨として法華経を行じ旦つあらゆる思想を開顕して妙法に帰せしめ、もって即身成仏、仏国土顕現を理想とする」とある。
一般には帰依している宗派を「宗旨」といっているが、真の意味は最も主要で尊く勝れていることである。
即ち釈尊自らの「我所説諸経而於此経中法華最第一」(法師品)を、日蓮聖人は『秀句十勝抄』「釈迦世尊立宗之言法華為極」(定二三六四頁)と促え、法華経は釈尊の宗旨であり、一代の仏教は当然法華経の教理によって開顕統一されるべきものとして仏教の帰結を示された。
更に「問て云く如来滅後二千餘年に龍樹・天親・天台・伝教の残したまへる所の秘法とは何物ぞや。答て曰く、本門の本尊と戒壇と題目の五字と也」(『法華取要抄』定八一五頁)と法華本門の教義をこの三大秘法に結束して示したのが日蓮聖人の宗旨である。
参考のため二、三宗旨に関する条文を挙げる。
明治二九年(一八九六)六月二〇日施行『日蓮宗宗規』には、第一条=「諸仏出世ノ本懐最為第一ノ法華経ニ根拠シ宗祖日蓮釈迦所立ノ宗ヲ開キ本教ノ妙旨三大秘法(本尊題目戒壇)ヲ宣布シ末法ノ機縁二之ヲ奉持セシメ以テ即身成仏ノ妙悟ヲ得セシムルヲ教旨トス」とあって「釈迦所立ノ宗」が明示されている。
昭和一六年(一九四一)三月二九日認可(三派合同)『日蓮宗宗制』では、第一章第四条=「宗祖立正大師日蓮肇国ノ本義ニ鑑ミ仏法ノ深旨ヲ究メ開顕統一ノ妙法蓮華経ヲ以テ時機相応ノ大法ト為シ国体ヲ光顕シ人心ヲ教導シ破邪顕正以テ立正安国ノ宗旨ヲ立ツ」とあって「開顕統一ノ妙法蓮華経」と明示されるが戦時色が強く感じられ、三大秘法は教義の精要として第六条に移っている。
昭和二四年(一九四九)に至り、三大秘法を「宗旨」とすることが「日蓮宗規則」に定められ、(1)本門の本尊を閻浮同帰の正境とする、(2)本門の題目を受持成仏の妙行とする、(3)本門の戒壇を信受実践の本誓とする。
となり、昭和二六年から現行の条文になった。
戦前の宗門の規則においては、本尊の形式が条文にうたわれていたが、戦後その条文が消えて宗旨の中で本尊の実体として成文されているのは、離脱した中山法華経寺復帰のための深甚の配慮にあったことを付記する。