一大秘法
一大秘法
いちだいひほう
略して一秘ともいう。
教主釈尊が末代の衆生救済のために留め置かれた南無妙法蓮華経のことをいう。
『曽谷入道殿許御書』(定九〇〇・九〇二頁)、『富木入道殿御返事』(定五一六頁)等において、日蓮聖人は「一大秘法」の用語を示されている。
日蓮聖人は教主釈尊の救済を普遍としつつ、それは殊に末代の逆機・謗法の者の救助に集約的に実現されるものであることを発見された。
そして末代の凡愚は重病に陥っているのであり、そのような重病を療治するために良薬が与えられているのであって、それを通じて集約的な救助が求められなければならないのである。
つまり逆機・謗法の凡夫を救助するためには要法が与えられているのであって、凡愚はその要法によってのみ釈尊の救済にあずかることができるのである。
聖人はその要法こそが南無妙法蓮華経であることを説示され、更にこの救済を信奉する在り方を「三大秘法」として開示されたのである。
《望月歓厚「三大秘法の成立と組織」『日蓮教学の研究』、渡辺宝陽「聖人の戒壇義と教団の原点」『日蓮宗信行論の研究』、『遺文辞典』教学篇「一大秘法」の項、『日蓮辞典』「一大秘法」の項》