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法華玄論

ほっけげんろん #3862

法華玄論

ほっけげんろん

一〇巻。
隋の嘉祥大師吉蔵(五四九-六二三)撰。
『正蔵』三四巻所収。
吉蔵は三論(中論・百論・十二門論)学の大成者であるが「三論をずること一百余遍、法華三百余遍。(略)並びに玄疏を著わし盛んに世にひろまる」(『続高僧伝』巻第一一)といわれ、生涯法華経をじ玄論(経の奥深い内容を論じたもの)と義疏(経の語句をときあかしたもの)を著した。
法華経については『法華玄論』を始め『法華義疏』一二巻、『法華遊意』二巻または一巻、『法華統略』六巻を著し、このほか『法華論疏』三巻がある。
法華玄論』はこれらのうち最初に著されたものとみられている。
「玄義に六重あり」とし、一弘経方法、二大意、三釈名、四立宗、五決疑、六隨文釈義の六門より構成されている。
第一明弘経方法では釈法師義、明弘経方法、明失義、論弘経難義、明翻訳縁起、明講経縁起、明所弘之経の七意を述べる。
第二説経意では、がこの経を説いた因縁を一六章に分けて述べる(以上、巻第一)。
第三釈名では妙法と蓮華を釈し、その中で法華経の身の常住なることを説く。
第四弁経宗旨では慧遠をはじめ一三の法華経観を列挙して評を加え、どのような師の釈でも、それを聞いて悟るところに意義がある。
悟りこそこの経の宗旨(根本の趣旨)であるから、釈の同異を論ずべきではないとしている(以上、巻第二)。
第五決疑では法華経と諸大乗経との勝劣について「衆経顕道無異」を説き(巻第三)、次に明一乗義において法雲のいわゆる四車説を批判し三車説を主張する。
そして四種の二智を論ずる(巻第四)。
巻第五以下は第六随文釈義であるが『法華義疏』のような遂語的解釈ではなく、主要な品の要点を論じたものである。
吉蔵は三論の教学をふまえて法華経を解釈し、法華経の初段は乗の権実、後段は身の権実を明かしたものとし乗の権実では法雲の四車説を批判して三車説を主張し、身の権実では法華経に説かれる仏身を無常(有限)なものとする法雲の説を批判して常住説を主張した。
その際、世親(天親)の『法華論』を始め多くの経典や論疏を援引し、博引旁証右にいずる者なく、その中には現在散逸して伝わらないものもあり、当の文献を知る上にも重要な書である。
なお日蓮聖人智顗・湛然の法華経を正統と見なし、三論の立場からの解釈は邪説であり、吉蔵を「法華経をやぶる人なり」(『報恩抄』定一二二六頁)との指摘がなされている。
塩田義遜『法華教学史の研究』、里見泰穏「吉蔵の法華玄論について」『法華経の中国的展開』、平井俊榮『中国般若思想史研究―吉蔵と三論学派』、村中祐生「法華玄論について」『印度学仏教学研究』一五巻二号、丸山孝雄『法華教学研究序説―吉蔵における受容と展開』、『遺文辞典』歴史篇「吉蔵」の項、『大蔵経全解説大事典』「一七二〇・法華玄論」「一七二一・法華義疏」「一七二二・法華遊意」「一八一八・法華論疏」の項、『仏書解説大辞典』「法華玄論」の項

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