御鬮
御鬮
みくじ
籤(せん)の義。
吉凶禍福勝敗等を判定するために、竹串木片紙片に験(しるし)をつけて抽き取るもの、また紙を丸めてこれをつまみとるもの等があり、神仏の聖断を乞う誠意より出たもので、いわゆる占術とはその趣を異にする。
孔子(くじ)、櫛とも書き、お御鬮(みくじ)とも称する。
中国に起源する。
(一)輪相鬮=『占察善悪業報経』に小指位の太さの木を一寸の長さに切り四面を平にして、その両端を尖らし、その一平面に十悪(殺生・偸盗・邪婬・妄語・綺語・悪口・両舌・貪欲・瞋恚・邪見)の一字を書き、その反面に十善の一字を書き、合せて十本の輪相となし、三宝に祈念してこれを擲(な)げ、その現れた善悪の文字の多少によってその人の宿世の善悪業の多少を知ると説く。
輪相とは(1)木片の形が転じ易く造られている。
(2)邪見疑網を転じて正道となすの二義がある。
(二)竹鬮=『灌頂経』第十梵天神策経にある。
梵天王の所説なりとして、梵王自ら一〇〇の偈頌を説き、これを竹のふだに書いて、五色の絹の袋に入れ、卜(うらな)う時はまず三策を取り、七策目を判定すと。
中国南北朝時代既に百鬮の行われた証といえる。
(三)紙鬮=永明智覚禅師に始まる。
禅師二つの紙鬮を作り一は一心禅定。
二は誦経万善荘厳浄土という。
一心に祈念して自ら願って二つの鬮の中、七返手に拈著する鬮の標記に従うと、乃ち誦経、万善の鬮を得たと(盧山蓮宗宝鑑第四、楽邦文類第三、『仏祖統紀』第二六)。
(四)観音鬮=観音籖、竹籖に番号を書き箱に入れ、観音堂に備えて、これを抽き取り吉凶を卜する。
釈門正統に菩薩鬮と名づける。
百籤は天竺寺の観音院より起り、百三十籤は越の円通寺より起る。
観音鬮は俗語。
これら中国で行われた菩薩百籤及び円通寺百三十籤の類が、わが国に伝えられて、庶民信仰の盛んな神仏の前に鬮を置いたのが風習となった。
一般には弘法大師あるいは元三大師より伝わると称するが、平安期鎌倉期には、百籤の説を見ない。
日蓮宗の修法上伝承されているのは、『法華経御鬮霊感籤』(上中下三冊、村上平楽寺書林)であって第一番大上吉「妙法蓮華経序品第一各礼仏足退坐一面」から第九六番大上吉「一切大会皆大歓喜受持仏語作礼而去巻第八」に至るまで鬮の類は一番より九六番まであり、一番毎に法華経の経文を掲げて籤とする。
更に吉凶禍福の細目に互って種々に教示してある。
《『国史大辞典』四巻「籤(くじ)」の項》