寺有財産
寺有財産
じゆうざいさん
寺院が所有する財産のこと。
宗門は明治以来寺院の財産を保護するためにまず宗規において寺院の財産は住職これを管理すと定め、更に「寺有財産保管規則」を制定施行した。
この規則によればまずその財産を次の七種に分けている。
(一)仏像。
仏像とは仏体のこと。
(二)宝物。
宸翰及び古今名家の書画、縁起、古器物その他古来伝承の由緒あるもの。
(三)建物。
本堂、庫裡及びこれに属する諸建物。
(四)地所。
境内、田畑、山林等の寺有に属するもの。
(五)資金。
保存金、祠堂金等永遠保存の目的をもって積立てた資材。
(六)什具。
宝物に属せざる経巻、仏具、図書その他日用一切の器具。
(七)前各項に属せざる総ての財産。
こうして住職はこの種別に従い寺有財産の名称、品質、数量、由緒等を記載した明細帳を作り、当該寺院関係役員連署の上、宗務院及び録所(現宗務所)へ各一通を提出、一通を寺院に備え置くこと。
これが寺有財産明細帳であって、(一)‐(五)の財産中異動を生じた時は、明細帳を訂正し、関係役員連署宗務院へ届け出で、(三)の財産に対し改築または増築の場合は地方庁の許可を要するので、関係役員連署、管長の副書を請わねばならない。
住職交代の際は役員立会の上、財産を明細帳と対照取調べの上、後住職に引継ぐ。
(一)‐(三)及び(四)のうち境内地は質入及び売却を禁じ、非常特別の場合(四)、(五)の財産はこれを質入売却または消費することが出来るがそれには地方庁の許可を要するので、その事由を詳記し関係役員連署、管長の副書を請わねばならない。
(一)、(二)財産は殊に厳重に保管し、みだりに寺門外に持出しを禁じ、(三)は清潔を旨とし常に補修を加えること。
(五)は厳重保存の上、元資の増殖に勉む。
(六)は欠損散逸せざること。
ないし寺院の財産及び財産より生ずる果実は寺院及び宗門護持の目的以外に使用してはならないと規定されている。
なお現行『宗制』においては「寺院教会財産管理規程」が制定され、その財産を
(一)宝物その他重要な物件。
(二)土地、建物その他の有価証券。
(三)永遠保存の目的で積み立てた資材。
(四)前号以外の現金その他の財産
の四種類に分け、更にこれを特別財産、基本財産及び普通財産の三種に分類している。
特別財産は前記(一)、基本財産は前記(二)‐(四)の財産について総代会の意見をきいて設定する。
特別財産及び基本財産から生ずる果実はこれを普通財産とする。
こうして寺院が次に記す行為をしようとするときは理由書その他必要な書類を作成し、本宗の代表役員に承認を申請しなければならない。
但し(3)‐(5)までに記す行為が公告する余裕のないものであり、または当該不動産の面積に対して、その寺院規則に定める面積に満たないものである場合及び第五に記す行為が一月以内の期間に係るものである場合は、この限りでない。
(1)不動産または財産目録に掲げる宝物を処分し、または担保に供すること。
(2)借入れ、保証その他寺院の重要な負担となる債務を負うこと。
(3)主要な境内建物の新築、改築、増築、除却または著しい模様換えをすること。
(4)境内地の著しい摸俵換えをすること。
(5)主要な境内建物の用途もしくは境内地の用途を変更し、またはこれを寺院の目的以外の目的に供すること。
右行為の承認について、宗務総長は必要により財産処分審議会に諮ってこれを行うことになっている。
寺院の会計年度は毎年四月一日に始まり、翌年三月三一日終るとし、また財産目録を常備し、予算、決算、経費、その他財務について明瞭にしなければならない。
寺院が災害により、財産を減失または毀損したときは住職は宗務所長の調査書を添えて宗務総長に届け出なければならない。
なおこの規程は教会についてこれを準用する。
《牧口奏存・増田海円共編『現行日蓮宗法令』(明治三八年版)、『日蓮宗法規』(大正一二年・昭和八年版)、現行『日蓮宗宗制』》