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審査会

しんさかい #1830

審査会

しんさかい

審査会は宗内僧侶の紛争・非行に対し、法規に照らして正常な判断を下す所である。
明治一五年(一八八二)四月二六日内務省戍第二号によると、犯処刑の者は当省へ届け出るようとの達しである。 教導職にある者は刑を受け更に内務省において、なんらかの処分を受けたようである。 明治二四年九月三日内務省訓令第二二号によると「近来各宗ノ内往々党ヲ樹テ社ヲ結ビ互ニ名利ヲ争ヒ訴訟ノ風ヲ醸成スル弊之有リ僧侶ニシテ有間敷所業ニ付各管長ニ於テ自ラ率先徳義ノ上進ヲ冀図シ風紀ノ頽廃ヲ匡正シ」とあり、紛争・非行の裁定を管長している。 この省令訓令によってか、明治三八年には、宗則第六号「賞条例」が作られ、非行の申告は録司を経て提出するようになった。 ち賞罰いずれも管長の独裁ではあったが、宗団組織の上から見れば良識であったといえる。 以来星霜を経て、大正の初期には更に一歩前進して、僧侶の紛争・非行の判定は別個の構を造って、これに当らせた。 これが審査会である。
大正一〇年(一九二一)頃の法規には、宗則第八号として「審査会規程」が載っている。 わずか十六ヵ条から成っている。 「審査委員は五名とし日蓮宗僧侶中より管長之を任命し其の任期を三ヵ年とす」とあり、更に「宗義に違反し信仰を惑乱する者」に対する審査には、臨審査委員五名を任命している。 この点では、まだ管長の意思が十分加味されているように思える。
昭和六年(一九三一)三月、宗会の議を経て、「審査会規程」が大改正され、「審査手続規則」が制定され、更に「懲規則」が充実されるに至った。 同年六月には審査会は常置されることとなり、通常審査会と特別審査会との二部に分かれたが、書記長一名・書記二名は両部共通で務を執った。 しかし委員の任免は管長の独裁であった。
昭和二三年、「審査会規程」が更に改正された。 このに通常審査会が第一部審査会に、特別審査会が第二部審査会となった。 これは呼称が変っただけで内容は同じであり、世の裁判同様、第一審第二審の意味である。 第一審査会の審決に不服のある者は、第二審査会に上告するのである。 ただ宗門選挙に関しては、直ちに第二審査会へ申出ることである。 かつては通常審査会へ申告した場合、本件を正式審査に付すべきや否やを決するため、審査委員の中から準備審査委員が選ばれて可否を決したが、今はその制は廃止された。 審査会への申告の方法、審査事務、申・被申当事者の心得等を規定した「審査手続規則」も、現行『宗制』には見られない。 審決とは審査会の判断の申し渡しであり、終審とは審決に異議なしとされた時であり、ち審査が終了したことである。
審査員については先に少し触れたが、現行『宗制』から今一度説明すると、「宗憲」第四三条に「審査員は、宗務総長が宗会に諮って選任する」とあり、第四二条には「審査会は、それぞれ五人の審査員で組織する第一部及び第二部で構成し、非行及び紛議を審決、判定及び裁決し、処分を執行する」とあり、いわゆる三権分立を明確にしたところに審査員の面目があるのである。 ただ委員の資格について「宗憲」・「規則」・「規程」には、なんら記するところがない。 古い規程にも「日蓮宗僧侶中より」とあるのみで、世の裁判官と大いに違うところである。 ここに緊急処分の問題がある。 前記の如く「宗憲」第四二条には「審査会は(略)非行及び紛議を審決、判定及び裁決し、処分を執行する」とあるのに、「宗憲」第一三章第七六条第二項に「宗務総長は、非行明白で、緊急の処分を要すると認めた時は前項の規定にかかわらず第一部審査会長に諮り懲処分することができる」とある。 緊急の処分ということが問題であるが、ともかく宗務総長審査会に代って懲処分を行うことを規定している。 「宗憲」第六章第二一条から第三一条まで、宗務総長の権限が規定されているが、司法権行使の条項はない。 ただ「宗憲」第二三条第五項に、懲処分の免除、復権の取扱いが出ているが、これも管長の統理項であることは、「宗憲」第一六条八項の示すところである。 司法と行政とのに何か会通のできる項目はないものか。
審査会は「懲規程」によって審決しなければならない。 「懲規程」は明治三八年の法三条式の「賞罰条例」から、現行の「懲規程」に改正されたもので、五十ヵ条に及ぶ行届いたものである。 紙数に限りがあるので、課せられた懲科目を略記することにした。
「懲規程」第一条を次の六種としている。
(一)除籍=僧籍を削除する。 この場合住職権、担任権又は教導権を失う。
(二)喪位=師又は師補の分限を喪わせて沙弥に貶する。
(三)罷免=住職担任又は教導の職を罷免する。
(四)降退=僧階を一級或いは数級降退させる。 但し、この場合罷免に該当する懲に及ぶものであってはならない。
(五)停止=一定の期を定め選挙権及び被選挙権の行使、または僧階の昇叙を停止する。
(六)譴責=非行をとがめ将来をめる。
第二条には執行猶予の規定がある。 懲科目の呼び名はあまり変らないが、内容は改正前のものと異なる点が見られる。 非行の分類については法規に譲る。
なお改正前の規程にあって、現行規程にないものとして次の二科目を付記しておく。
擯斥=法籍を削除し、寺院を退去せしめ、宗外に擯斥す。
剥奪=師・師補の分限を剥退し、沙弥に貶す。

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