変成男子
変成男子
へんじょうなんし
法華経提婆達多品の文。
「変じて男子と成る」と読む。
女性が変じて男子となるという意。
女性には五障(梵天王・帝釈・魔王・転輪聖王・仏となることが出来ない)があって成仏の器ではないから、現身にまたは浄土に生まれて男身となって得道するとの教説。
提婆品は前半に提婆達多の成仏(悪人成仏)を説き、後半に竜女成仏(女人成仏)を説いている。
この「変成男子」の語は、女人成仏を説く段に見られ、文殊師利菩薩と智積菩薩との間に交わされる法華経修行における速疾成仏の問答の中で、その成仏の実例として説示される。
経文には「忽然の間に変じて男子と成り、菩薩の行を具して即ち南方無垢世界に往いて、宝蓮華に坐して等正覚を成じ」と、八歳の竜女の成仏の有様を説示している。
この竜女成仏は法華経の教説の一大特色であって、爾前の経々で卑められていた女性観を打破し、女性の即身成仏、男女平等の成仏を示したものである。
最澄もこの竜女の即身成仏を重視し『法華秀句』に「能化所化倶無歴劫、妙法経力即身成仏」と釈して、法華経が諸経に優越する一理由としている。
日蓮聖人も女人成仏については遺文の随処で強調されているが、「変成男子」の語を引用して女人成仏を説示する例を見ない。
それは法華経が即身成仏の教えであり、女人の成仏・往生も「女人即成」とされていたからである。
また薬王菩薩本事品二十三には「若し女人にあって、是の薬王菩薩本事品を聞いて能く受持せん者は、是の女身を尽くして後に復受けじ。若し如来の滅後後の五百歳の中に、若し女人あって是の経典を聞いて説の如く修行せば、此に於て命終して、即ち安楽世界の阿弥陀仏の大菩薩衆の圍繞せる住処に往いて、蓮華の中の宝座の上に生ぜん」とある。
《『遺文辞典』教学篇「変成男子」の項、『日蓮辞典』「変成男子」の項》