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威儀形色経

いぎぎょうしききょう #1642

威儀形色経

いぎぎょうしききょう

表題には『法華曼荼羅威儀形色法経』、内題には「証成妙法白蓮華経王八葉蓮華上涌出宝塔中両足婆誐鑁八大菩薩等及三重方壇三摩耶眷属妙威儀形色講願会方位幖幟曼荼羅八平等大会成就法華三昧現世入初地決定証菩提法経」とあり、略して『威儀形色経』という。中京大興善寺大広智不空奉詔訳一巻。 『正蔵』一九巻「秘密儀軌」八所収。
不空訳とあるが、空海・円仁・円珍らの将来目録に名なく、安然の著作にもその名を見ないから、恐らく不空訳でも、不空造でもあるまい。
『薄草紙口決』三には「抑も今の形色経は或は之を偽経と称す、規模と為さざる哉、之を思うべし」(『正蔵』七九巻一九〇頁c)とて偽経であることをほのめかし、『阿娑縛抄』七一には「証誠白蓮華成就形色経、此書は新渡の書也、真偽不詳」(『全』阿三・二八九頁下)と、真偽未決とは偽書の謂である。
聖人はこれを『法華真言勝劣事』(定三〇四-五頁)、『真言見聞』(定六五九頁)、『断簡三四五』(定二九八三頁)に引用され、印度の法華経には印真言あり、法華が真言経に勝る由の一とさる。
本書は文中に自ら「具現成就妙法蓮華経王瑜伽観智儀軌」(六〇三上)というように、法華曼荼羅の諸尊名およびその方位については全く不空の『成就妙法(略)観智儀軌』と同一であり、ただ『法華観智儀軌』には諸尊の威儀形色を説かないから、この点を補説して、諸尊名を画像木像に造る場合の便に供しただけのものである。
今、軌と経とを比較して同異を列記すると、
(1)軌は修行法と曼荼羅建立との両面を説くが、経は曼荼羅の様相だけを説く。
(2)軌は直ちに法華経の内容解説に入るが、経は毘盧遮那婆誐鑁が持金剛秘密手菩薩大日経の対告)を相手に無問自説する形式をとることによって、経としての体裁をつくろっている。
(3)経の内題にもある通り、経の法華曼荼羅は「三重方壇」であり「成就法華三昧、現世入初地、決定証菩提」ための法である、という説、および文に入って法華曼荼羅は「内心曼荼羅」であり「面門西向」であるという総括的説明もすべて軌と一致する。
(4)経に説く諸尊の形色については省略する。
ただし因みに一塔両尊について述べれば、宝塔は一層宝塔。 髪形については多宝如来が「烏瑟紺髪冠」、釈迦如来が「賦沙紺青髪」。 身相はともに「黄金色」。 形は多宝が「定恵智拳 跏趺右押左 垂下左輻輪」、釈迦が「左定結拳 右恵開外方 屈無明小指 叙中頭大指 跏趺左押右 垂下右輻輪」。 共に袈裟衣を着し、共に蓮華に住す。 ただし二の座の左右については不記。
《浅井圓道『上古日本本門思想史』、『遺文辞典』歴史篇「威儀形色経」の項、『大蔵経全解説大事典』「一〇〇一・法華曼荼羅威儀形色法経」の項》

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