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要品

ようほん #4713

要品

ようほん

法華経一部八巻二十八品の中から、とくに重要とするいくつかの品を取り出した別行本の要品集のこと。
その目的とするところは、朝夕の勤行、或は法要等に於いては、常に二十八品を読誦することは、間的にも無なので、肝要の部分を抽出して用いるのである。
しかし、同じ法華経を依経としていても、宗派によって学のたて方が同じでないので、要品の内容も一律ではない。
まず、法華宗の立場で選び出されたのが、後世「四要品」とよばれるもので、これについては千数百年前の当初から異説もあるが、一般には方便品安楽行品寿量品、普門品の四品である。
湛然(七一一-七八二)は『法華文句記』巻一上にこの要品を選んだ理由を「今、義便に随へば、広略時に適ふ、故に方便、安楽、寿量、普門は是れ本迹の根源、斯経の枢鍵なり。必須は簡に委ぬ。余は則ち宜しきに随ふ」とのべて、この四品は、法華経の迹門と本門の肝要であるから、必要に応じて、これを読誦すればよいといっている。
しかし、上記の四品を一括した別行本が刊行されていたのか、もしくは二十八品中から、適宜選読されていたかは明確ではない。
また「四要品」というような義上の裏付けをもった選び方以外に、二十八品から抄録した経本が用いられたということも考えられることである。
そして、わがに於ける要品については、伝教大師によって天台法華宗が開宗されて後は、四要品という呼称が行われ方便、安楽、寿量、普門のことを指しているが、近世のものには、江戸初期に寿量、神力、薬王、普門、陀羅尼五品をもって要品とした「慈海版要品」が刊行されている。
そして日蓮宗系の要品としては、江戸初期に八品派の日隆(一三八五-一四六四)は『本門弘経抄』に「序品、方便品、寿量品、普門品」をあげ、日重(一五四九-一六二三)の『見聞愚案記』巻一には「方便、寿量、陀羅尼、普賢の四品なり」とあげて天台四要品の様式にならっているが、こうしたものとは別に法華経二十八品読誦の便に叶う要品がすでにあったものと見られる。
刊行要品の実例をみると「貞享二年(一六八五)四月吉日、大伝馬町三町目、鱗屋開板」の「絵入り延べ書き訓読要品」がある。
所収の経は「序品、方便、欲令衆、提婆、寿量、神力、普門、陀羅尼、普賢品、此経難持、以要言之、円頓章」の八品と要文等である。
これを現行の要品と比べると嘱累、厳王二品末入の要品で、系統的には現行本の祖型ということができる。
明治一三年(一八八〇)刊行、毘尼薩台巌訂正、「法華経新註四要品」は「方便、法師、寿量、神力」として法師品を取り入れている。
また、妙顕寺刊で法師、宝塔、涌出、寿量、神力、嘱累六品を起、顕、竟の教義によって取上げた要品がある。
また、現行本では、序品、方便、欲令衆、提婆、寿量、神力、嘱累、普門、陀羅尼、厳王、普賢の各品と、宝塔偈、以要言之略法華経等を収めたものが流布しており、中には勧持品偈、常不軽品をも載せた本もある。
そして要品の推移をみると、四要品に始まって次第に増広されたものであるが、それは実用の便宜によってなされたものであるということになる。
《兜本正亨『法華経の要品について』、『日蓮辞典』「要品」の項》

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